緊急連載 大学から震災の灯は消えたか 第16回
「希望の灯り事件知らない」7割 学生にアンケート調査 |
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今年5月に東遊園地で起こった、阪神淡路大震災の慰霊のモニュメント「希望の灯り」が、壊される事件が起こった。UNN関西学生報道連盟では、関西の大学生100人に対し、阪神・淡路大震災に関するアンケートを7月から9月まで行った。「灯り」を壊したのは大学生だったが、キャンパスでのアンケート調査によると、その事実を知る学生はあまりいない。 一方で、震災関連のニュースに関心を持つ学生や、震災の風化防止に希望的な見方をする学生もいる。 ○ ○
神戸の東遊園地にある「希望の灯り」のモニュメント。5月3日の未明に酔っていた大学生によって壊される事件が起きた。事件は知っている人は30%(設問1)。大学生にあまり知られているとは言えない。 アンケートの回答者のうち、被災地に住んでいる15人の結果でも、事件を知っている人は40%しかいなかった。被災地内でも「希望の灯り事件」はあまり知られていないようだ。 しかし、「震災を受けた方々の気持ちを考えると心ない行為」、「壊した人に、もっと、なぜこれが作られたのかをよく考えてほしい」といった壊した行為に疑問を持つ学生もいる。 震災関連のニュースをよく見るかという問い(設問3)には9%が「気をつけて見ている」、74%が「気をつけているわけではないが、話題になれば見ている」とほとんどの人がニュースはチェックしているようだ。しかし「希望の灯り」事件を知っていたのは3割に過ぎず、「希望の灯り」事件は、あまり震災関連のものとして捉えられていなかったのかもしれない。 「関心がないから」、「風化しているから」、「身近なことではない」と震災に興味を持っていない人も見受けられた。「メディアの露出が減った」、「1月17日にしか報道しない」とメディアが報道量が減ったとする声もあった。 大学の中で「震災」に触れることがありますか(設問5)という質問には、22%が「ある」と答えた。「ある」の内訳は授業が9人、モニュメントが4人、友人との会話9人、講演会2人、イベント・行事2人(内訳は複数回答可)となっている。モニュメントと答えたのは全員神戸大生。震災で学生、教職員ら44人が亡くなった神戸大では、経済・経営・法の3学部が集まるキャンパスに犠牲者を追悼する慰霊碑がある。正面階段の隣のスペースで、学生の目にも触れやすい。 震災の風化は止められると思いますか(設問6)には、「はい」と31%が答えた。「メディアが取り上げてくれるだろうから、風化はありえないと思う」とメディアの役割によって風化は止められるとする意見もあるが、「マスコミも取り上げなくなっている」、「ほとんど復興して、テレビでももう取り扱われていないから」とマスコミが伝えなくなり忘れられていくだけだという意見も。 風化を防ぐには、「一人一人が意識することで止められる」、「みんながしっかり意識することが必要」と、震災の記憶を忘れずにみんなが意識することが重要と考えられている。 「関東大震災のことをみんな忘れていない」から阪神・淡路大震災のことも忘れないだろうとした人もいるが、「原爆とか戦争ですら風化している」から震災も風化してしまっているという意見もあった。 【アンケート結果の詳細は以下】 大学別回答者数 神戸大 25 立命 20 大外大 18 神女院大 13 京女大 11 関大 10 大市大 1 京産大 1 無記入 1 回答者のうち被災地の出身者数 神戸市 6 西宮市 4 宝塚市 2 明石市 1 芦屋市 1 三木市 1 設問1、「希望の灯り」のモニュメントが壊されたニュースを知っていますか (1)はい 30人 (2)いいえ 70人 設問2、あなたは震災のことを何を通して知りましたか(複数回答可) (1)テレビ 83人 (2)ラジオ 13人 (3)新聞 36人 (4)現地で見て 11人 (5)人から聞いて 11人 (6)その他 15人 設問3、震災関連のニュースをチェックしますか (1)気をつけて見ている 9人 (2)気をつけているわけではないが、話題になれば見ている 74人 (3)あまり関心がない 14人 (4)まったく見ない 3人 設問4、震災が起こった1月17日以外に震災を意識することがありますか (1)はい 53人 (2)いいえ 47人 設問5、大学の中で「震災」に触れることがありますか (1)ある 22人 (2)ない 78人 設問6、震災の風化は止められると思いますか (1)はい 31人 (2)いいえ 61人 わからない 1人 無回答 7人 【震災取材班 植中喬光】
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