未来へ継ぐ
救援隊「のんびり過ごす会」 東北大からも学生参加
2016年1月17日配信 記者=瀧本善斗
会の模様(撮影=瀧本善斗)
学内のボランティアサークル、学生震災救援隊は16日、「1.17をのんびり過ごす会」を開いた。会場となったサポートステーション灘・つどいの家にはOB・OGや、救援隊の活動に関わる地域の人々が集合。現役部員と鍋を囲み、震災当時を振り返った。
午後7時30分。代表の金川翔太さん(経済・3年)による「献杯」の掛け声で会は静かに始まった。会は、震災直後に行政の支援が行き届かない中で結成された救援隊が、行政が開く式典とは別に震災を振り返る場を設けたいとの趣旨で始まり、毎年開かれている。しかし金川さんは「救援隊の中でも震災について話す機会は減っている」と風化を実感するという。「普段震災について話さない人が、会では震災当時の記憶を語ってくれる。現役メンバーにとって大事な場」と話す。
救援隊の活動の一つに、被災者が多く住む災害復興住宅などでのお茶会がある。人々のつながりを生むことで高齢者などの孤立を防ぐねらいだ。16日にも神戸市灘区岩屋の復興住宅で開催した。中村茜さん(国文・2年)は「(復興住宅の居住者の中には)今でも震災について話したがらない人も多い。被災者にとって震災は今も続いている」と心のケアの重要性を訴えた。
東北大1年の清水谷苑実さん(撮影=瀧本善斗)
今年の会には、東北大からも1年の清水谷苑実(しみずや・そのみ)さんら学生3人が参加した。3人は、救援隊OBで同大課外・ボランティア活動支援センター特任准教授の藤室玲治さんの下、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市の仮設住宅でお茶会や足湯などの取り組みを行っている。16日に救援隊のお茶会にも参加した清水谷さんは「21年経った今でも震災を風化させないように、街の人々が頑張っているのはすごい」と感心していた。藤室さんは「(東日本大震災の)被災地はこれからが肝心だが、世間は収まりを付けようとする。現場に問題がある以上対処していく必要があるということを、神戸の今を見ることで学んでほしい」と期待を示した。
夜通し行われた会の終了後、一同はかつて救援隊が活動した仮設住宅があった大和公園に移動。阪神・淡路大震災の発生時刻、17日午前5時46分に黙祷をした。
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