あの日から21年 語り継ぐ震災

神戸大で慰霊式

「恩返しが僕の野望」白木利周さん

2016年1月16日配信 記者=瀧本善斗

献花する白木利周さん(撮影=竹内勇人)

 白木利周(としひろ)さんは、震災で息子の健介さん=当時(経済・3年)=を亡くした。健介さんのことを思うと「そろそろ(あの世に)連れて行ってくれ」と考えることも一度や二度ではなかったという。

 白木さんは他の遺族とも積極的に交流。毎年1月17日に神戸市中央区の東遊園地で行われる「1.17のつどい」では実行委員を2014年まで務めた。さらに東日本大震災など国内外で大災害が発生したときには被災地支援の活動にも携わった。「同じ境遇にいる人たちに少しでも寄り添ってあげたい。話をする中で、ひとりひとりの考え方の違いを理解するのが大事」と話す。健介さんから「まだやることがあるだろう」と促されているような感覚が白木さんを突き動かしてきた。

 震災から20年が過ぎた頃から、白木さんの心境にも微妙な変化が表れる。これまで受けた恩を返したいという気持ちが強くなっているという。「犠牲になった学生たちも夢を持っていたはず。夢を受け継いでいけるのは今の学生たちしかいない」との考えから、神戸大生の研究や課外活動を支援できないか思案中だ。「実現は遠いかもしれないが、それが僕の野望」と白木さんは胸躍らせている。

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