高見秀樹さん
昭和48年10月4日
当時:神戸大経済学部3年・植松ゼミ
神戸大学応援団総部団長
被災地:神戸市灘区友田町1−1−10
出身高校:鳥取県立米子東高校
上写真:前列中央
下写真:左端
執筆:高見初子さん(母)
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今生きていたら、 満26歳…
「震災から五年の時を経て」高見初子
もうすぐ震災から五年の月日が経とうとしていますが、私にとってはやはり震災のことだけは時間が止ってしまった様に、去年の事の様な気がします。そして秀樹はまだ神戸にいる様な気持ちになる事があります。墓まいりをしていても本当に墓の中にいる気がしません。平成九年、十年と続いて義母、義父が他界し、長女は結婚して嫁ぎ、我が家は主人と二人きりになってしまいました。先の事を考えると気持ちが落ち込んでしまうので、今を一生けんめい生きています。できることならもう一度あの優しい笑顔の秀樹に会いたいと思います。以前友達と話をしていて「秀樹さんはやさしくて、頭も良く、あなたは何の苦労もなく今までやって来れたから、お嫁さんで苦労するかもしれないね」と言われた事があったが、本当にそんな苦労をしてみたかったと思います。秀樹の選んだ人となら、仲良くできた様な気がします。今生きていたら、満二十六才です。今ごろどんな仕事をしているだろうかとか、彼女はできているだろうかとか思ったりします。同級生の方に出会うと、秀樹もこんな感じになっているかなと思ったりします。
私はこれからは、自然を相手の農業をしたり、命の大切さを感じながら老人介護の仕事をしていきたいと思っています。きっと秀樹は私たちをずっと見守ってくれていることでしょう。
スナップ写真について
一枚は平成七年一月五日夜、応援団の仲間達が我が家に来られ、新年会をしているとこで、中央にいるのが主人でその左横が秀樹です。この夜が秀樹にとって自宅での最後の夜になってしまいました。私達にとっても、秀樹との最後の夜となってしまいました。
もう一枚は翌日仲間と共に神戸に帰り、その次の日応援団の新年会で全員集合の写真です。震災後応援団の人が持ってきてくれました。前列中央が団長の秀樹です。
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