林 宏典さん
昭和48年6月7日生まれ
当時:神戸大・経済学部2年・金融ゼミ
被災地:神戸市東灘区将軍通1ー3ー3 安田文化住宅
出身高校:山口県立下関西高校
写真:右から2人目
執筆:敬子さん(母)

 

息子の言葉、
私の心に生きています


 高校時代の友だちからあの悪夢を聞き、山口県から神戸に行くにも新幹線はだめで、車で夜出発しました。行くに行かれない、帰るに帰れないで五日間も車で生活しました。家はもちろん、木や建物がこわれたり、傾いたり、次々に人が同じ悲しみに合いました。まだ余震があり不安の日々でした。道路は通れない状態でした。火事も次々起こり、水はでないので消防自動車がだめだし、救急車、パトカーが夜中じゅう聞こえてきて家に帰っても、あの日の事は一生忘れることができません。でも私たちは帰る家があるのですが、神戸の方はたいへんな思いをされたことでしょう。子供はいろいろなアルバイトをしながら楽しく大学生活を送っていました。生協と家庭教師が最後のアルバイトでした。一人の学生さんを大学に入学させるのに一生懸命勉強を見ていました。入学試験も間近になり泊まり込みでする予定でした。その後大学に無事入学され、交通の不便な時、実家をたずねて来られたのは感動しました。それから幼稚園から高校時代の恩師や友だち、大学時代の友だちがたくさん来られ、涙した日々が続きました。お正月に帰った時、金融を勉強して、銀行マンになって、家を建ててあげると言っていました。その言葉は、いつも私の心で生きています。大学生の皆様、亡くなった方々のためにも、きびしい世の中ですが、日本を変えるため、大きな夢をもって大いに頑張って下さい。  


ホームへ リストへ 次へ