橋本健吾さん
昭和50年6月11日生まれ
当 時:神戸大・医部1年
サッカー部
被災地:神戸市灘区中郷町3ー1ー24
出身高校:岡山白陵高校
執筆:橋本智子さん(母)
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鮮かに記憶、 昨日のことのよう
あの突然の阪神淡路大震災から五年になろうとしておりますが、私には、まだ、昨日の事のように、鮮やかに記憶に刻まれております。被災者達の思いをよそに、確実に時は過ぎて、神戸の街の何事もなかったかのような賑やかな佇まいを見るにつけ、取り残されたような寂しさを感じる時もありましたが、ただ、何よりの、慰めは毎年、年が明けると一月から春にかけて、息子のお友達が沢山、お墓参りに来て下さったことで、有難いことだと思っております。彼の事を、覚えていて下さる、そして、彼には出来なかった、それぞれの未来を、夢を実現されているのを見て、ほっとした気持ちになりました。”よい医者になりたい”とよく言っていた彼の分まで、お友達には、有意義な人生を歩んで戴きたいと思っております。五年経って、落ち着いた日常ではありますが、成人式も待たずに、逝ってしまった。息子の無念さ、彼を失った悲しみはいつまでも私の心に消えないし、叉、時が経つに連れ、増していくのではないかと思える時もあります。時折、今なお人知れず、彼の墓や被災地に、花が手向けられているのを見ると、同じ気持ちの方がいてくださるのか、と心を打たれます。
六千人以上が亡くなられ、その家族の方々の気持ちを考えると、もう二度とあのような、災害による、悲劇が繰り返されないよう、願って止みません。末筆になりましたがいろいろとお心遣い下さいました、山鳥先生はじめ先輩、同級生の方々に紙面をお借りしまして、心よりお礼申し上げます。有難うございました。
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