森 渉さん
昭和47年2月27日生まれ
当 時:神戸大・法学部4年・五百旗頭ゼミ
軽音楽クラブ
被災地:神戸市東灘区本山中町4ー9ー17
出身高校:大阪府立泉陽高校
執筆:茂隆さん(父)
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平和な寝顔… 家族にとって大きな慰め
渉へ
歳月は慈悲を生ずと言うが、五年経った今尚、いやされぬ傷をどうすることも出来ない。クリスチャンは天国での再会の希望という特技があり、いずれ、会うことの確信を持っているが、この現世ではまみえることの出来ない心の空洞を直視するばかりである。
君が社会人として、読売新聞の記者として活躍している姿を想像するのは許されるだろう。しかし、もはや、それは親の弱さなのだろうか。新しい人生を歩んでいる君の姿をどの様に思い描けばいいのだろうか。
一日も早く親として自立した生活をすべきだと迫られている昨今である。
親が自立した時、君は新しい笑顔を送ってくれるに違いない。
被災の状況
前夜、友達のアパートで、仲間同志の楽しい語らいがあり、深夜に自分の下宿に帰宅。卒論の仕上げで遅くまで机に向かっていたらしい。就寝し、深い眠りに落ちた時地震に襲われ、瞬時にして木造家屋は倒壊し、次男(渉)の部屋は一階西端にあったが、二階部分が落下し、特に梁が本人の頭部を直撃して、殆ど即死したと思われる。被災の状況は過酷であったが、平安な寝顔を残していたのが、家族にとって大きな慰めであった。
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