竸(きそい)基弘さん
昭和46年6月28日生まれ
当 時:神戸大・大学院自然科学研究科・池田研究室
ユースサイクリング同好会
被災地:神戸市灘区六甲町2−6−19
出身高校:名古屋市立向陽高校
写真:左から2人目
執筆:竸恵美子さん(母)

 

もう5年、まだ5年…
心入り乱れ


 長男基弘は文化住宅一階で被災し、圧死しました。外傷もなくきれいな安らかな顔でしたので、熟睡中のあっという間で知らぬうちに天国に旅立っていったのでは・・・・・・。
 あの悪夢の様な日からもう五年、いえまだ五年と心は入り乱れています。世間ではよく「悲しみは時が解決してくれる」言われます。でも違うのです。そういう場合もあるでしょうが、時と共に深まる悲しみもあるのだと痛感しています。主人も同じ想いです。日常は普通に過ぎていても、心の内の寂しさ虚しさ痛みを伴う悲しみは段々重くなり、喪失感いっぱいで心の空洞はいつまでも埋まらず、涙も涸れることはありません。家族四人(主人、私、息子、娘)揃っているのがあたり前だったあの頃に、戻れるものなら戻りたい。
 二十三才六ヶ月の短い人生をまるでわかった様に、人の何倍もの速さで誠実に精一杯生きて、大好きだった神戸の地で天国へ旅立った息子を想う心はいつまでも変わらないでしょう。これからも息子の心をいつも感じながら、主人や娘と支え合いながら、天国の息子にいつかある日笑顔で迎えてもらえるよう一日一日を大切に誠実に生きてゆきたい。
 「お母さんの子供に生まれてきてくれてありがとう。いっぱいの思い出ありがとう。これからもずっと大事な大事なかけがえのない家族だからね。基弘と朗子はお父さんとお母さんの宝物だからね。いつもいっしょに生きてゆこうね」息子の遺影に語りかける毎日です。  


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