衛 紅(エイ コウ)さん
当時: 阪大・経済学部研究生
出身国:中国
出身大学:上海外国語大
被災地:西宮市鳴尾町5−2−24
上写真:左
談話:生島政男さん(知人)
|
もう少し早く 建て替えていたら
才色兼備。穏やかで朗らか。こんなに完璧な人がいるものかと思うほど、衛紅さんは本当にすばらしい女性でした。
彼女は上海外国語大で日本語を学び、通訳や翻訳の仕事に携わっていました。九三年に天皇皇后両陛下が初めて訪中された際には、両陛下の通訳を務めたことがあります。でも彼女はそのことをひけらかすことはなく、むしろ「『天皇陛下の通訳をした方です』と人に紹介されるのは気が引ける」と言ったりするような、謙虚な人でした。
衛紅さんに、私の二階建て木造家屋の一階の部屋を貸していました。そこで彼女は被災した。だいぶ老巧化が進んでいたので、しばらくしたら建て替える予定でした。もう少し早く建て替えていたら、もしかしたら彼女は助かっていたかもしれないと思うと、悔やまれてなりません。
衛紅さんは私を「お父さん」と呼んでいました。私にとっても、娘同様でした。
私は年一回は中国へ行き、お墓参りをします。彼女の墓を前にすると、「才のある人は短命」という言葉が思い出されます。
|