山中祥子さん
昭和46年11月9日生まれ
当 時:京大・文学部4年
アイセック
被災地:西宮市大井手町5ー2
出身高校:神戸女学院高等学部
執筆:良子さん(母)
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祥子が 娘であったことに感謝
「卒業論文って、皆締切りぎりぎりに提出するものかと思っていたのに、一番最後の方だった」とくったくなく私に話してくれた。それは学校での勉強からやっと解放された、一月十一日のことでした。その気分は、たった六日間のものでした。
一月十七日大震災の犠牲になり、娘の命は昇天致しました。どれ程無念だったことでしょう。あの時声を限りに娘の名前を呼んだ。応答がなかった・・・。言葉では語れない思いが体中を襲いかかった。あれからいくつの事柄を乗り越えてまた味わってきたことでしょう。
もう五年が経つのですね。一年が経った時は一年の思い、三年は三年の思い、何事も時が思いを薄れ柔らげてくれるものなのでしょう。それでも人の命二度と会うことのない人との分かれは決して薄らぐものではないのです。
人生何事にも各々意味があるのだと信じて生きて来た自分にとって娘の死の意味は何なのかと考えた、それは人が人間らしく生きるためにどの様な価値観で生きたら良いのか、今じっくりと考えよう。それが娘の最後のメッセージなのだと受け留めたい。
とにかく今は良い人生だったと思える日々を元気で過ごそうと思っている。そうして、祥子が娘であったことに感謝している。
ありがとう。ありがとう。
そうしてゴメンナサイ。
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