松本美穂さん
昭和49年5月12日生まれ
当時:関学・法学部2年
被災地:西宮市津門川町 いこい荘
出身高校:和歌山県立星林高校
写真:中央
執筆:隆さん(父)

 

いっぱいの
思い出ありがとう


 一月十七日、勤務先へ家内から、「美穂が、美穂が・・・」と悲痛な声で電話があり、私はすぐに美穂が死んだのだと直感しました。家族四人、和歌山を出発し、八時間かかって西宮へ着きました。辺り一面、ガスの臭いで異様な光景でした。折れ落ちた高速道路を見、身震いがしました。いこい荘は一階が跡形もなく崩れ落ちていました。収容先の病院へ。病院内は正にパニックです。
 地震発生後、すぐにかけつけてくれた友人が、救助隊の人達をせかせて、掘り起こして病院に運んでくれたとの事です。体はまだ温かく、眠っているような様子だったと聞きました。医師は胸部圧迫による内臓破裂で、ほぼ即死状態だったとの説明でした。穏やかな顔で、外傷もなく、それを見て救われる思いでした。
 中学の時に一年半、不登校。拒食症で一カ月余りの入院。壮絶な戦いで全てを乗り切り、バイトで学費と生活費を稼ぎ、自活しての学生生活。一般学生のようにサークル活動等、華やかな活動はできなかったようですが、一日々々を一生懸命に生き、希望を持ち、童話作家を夢見、充実した学生生活を送ったようです。
 夢多き二十才、色々な事をしてほしかった。悔しさがこみ上げて来ます。春風のように駆けぬけた美穂、いっぱいの想い出を有難う。あれから五年余り、妹は今春結婚し、弟は今春、大学生となりました。お母さんは相変わらず、よく泣きます。お父さんは、おまえの形見の自転車に乗り、元気いっぱいです。
 一月十七日、又西宮へ逢いに行きます!!   


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