前田勝次
昭和48年9月18日生まれ
当 時:大工大・工学部電子工学科3年
被災地:西宮市松生町1丁目
出身高校:岡山県立新見高等学校
写真:左
執筆:一紀さん(父)
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天国で幸せにやってると 言ってる様
お父ちゃん、僕国立島根大学と私立大阪工業大学二校共受かったよ僕は大阪工大に行きたい、私は授業料の安い国立島根大へ行く様にたのむ、本人はどうしても大阪工大に行きたいと言う。
しかたないすきな様にしろと伝える。
そのかわり住まいは、おばさんの所(私の姉)西宮に住む様に言うが、(息子は)ワンルームマンションに住みたい(大阪工大)の近く。
少しでもお金を掛けない様にと思いわがままを言わずに西宮のおばさんの所に住ます様にする。
ワンルームマンションのお金を節約したが為に震災に合い、結果的に一生くやむ様に成った。
しかしみんなには、もし反対に島根大に行かして島根が震災に成った場合これこそ一生くやむのではと言われた。
大工大の近くのマンションに住ませておれば良かったとくやんでもくやみきれません。
朝、西宮の姉から電話が入る。「勝次が下敷きになった」。すぐ西宮に出かける。ラジオのニュースで、西宮市の死亡者名を伝えている。助かったのだろうかと思うが不安はつのる。途中、自宅待機の母に死亡の電話が入ってきた。妻は車の中で泣くばかり。
須磨まで着いたのが十八日朝。勝次の顔を見る事ができない。親せきが西宮に来て遺体を連れて帰るとの事で、行くのを断念する。
十八日夜、遺体が帰る。家中悲しみにふける。皆、お悔やみを言ってくれたが、子供を無くした私たちの気持ちは誰にもわからない。
あれからもう五年。いつまでも悲しんではいけない。勝次が天国で幸せにやっていると言ってる様だ。ならば家族が一生懸命頑張って幸せになる事が勝次への供養になると思う。
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