震災が発生した1995年1月17日、被災地では多くの建物が全半壊し、電気・ガス・水道などのインフラも麻痺した。「神戸の夜景が消えた」。当時の学生は、被災地の様子をこう振り返る(震災特集1998より)。
いま、市街地のほとんどは復興を通し元の姿に戻った。しかし「神戸は震災から完全に復旧したと思うか」との質問に、過半数の学生が「いいえ」と答えている(グラフ参照)。その理由として「震災で更地になったままの場所がある」「表面上は元に戻っても、心の傷が癒えない人がいる」などが挙げられた。
「震災について家族や友人と話すことはあるか」との質問に「よく話す」「ときどき話す」「1月17日が近づいたら話す」と回答した学生は、兵庫県在住者が最も多く48%だった。その一方で「あまり話さない」「まったく話さない」は、同じ兵庫県在住者で52%、京都府在住者では80%となった。震災が話題となる機会は徐々に減少していることが伺える。
「震災当時のことを思い出すことがあるか」は、被災地から離れるにつれ、「思い出す」割合が少なくなることがわかった。「(震災の印象については)『あっ地震だ』くらいにしか思わなかった。テレビでは悲惨な映像が流れていたけど、現実離れしていてイメージできなかった」(当時関東地方在住者)。
「震災の記憶は世間から忘れられていると思うか」との質問に、学生の75%が「いいえ」と回答。4人に3人の学生が、震災の記憶は今も残されていると考えていた。
「震災の記憶は世間に残すべきだと思うか」。「そう思う」「ややそう思う」と回答した学生は全体の92%に上った。記憶の風化が取り上げられる中、何らかの形で記憶を次世代に伝えていくべきだとする考えが背景にあると見られる。
今回の調査を通じ、継承は大切だと認識する学生は多い一方で、具体的な行動につながらない現状が浮き彫りとなった。 |
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