神戸大学ニュースネット委員会 阪神・淡路大震災から22年 「災後」今も続く
神戸大慰霊式

神戸大慰霊式の参列者の話
2017年1月19日 記者=内田勇希・下島奈菜恵・瀧本善斗・竹内涼

【写真】神戸大震災慰霊献花式に参列した遺族、関係者ら(17日・六甲台第1キャンパスで 撮影=瀧本善斗)

【亡くなった神戸大生の遺族(順不同)】

▽白木健介さん=当時(経済・3年)=の父、利周(としひろ)さん

 震災だけでなく(1997年の)神戸連続児童殺傷事件や(2001年の)明石花火大会歩道橋事故の遺族とも交流している。家族を失った苦しみ、無念さをお互いが分かり合える。震災を通していろんな方との出会いがあり、私の財産が一つ一つ増えていく感じがする。

 周りの意識が変わろうと、毎年この時期は震災当時に戻ったような気分になる。同じ境遇の皆さんと話していても、遺族は悲しみを忘れることはない。東日本大震災や熊本地震も起きたが、災害が起こるたびに社会の関心が移り、(阪神・淡路大震災が忘れられる)不安が募る。

 震災から4年間、自分たちほど不幸な者はいないと閉じこもっていたが、神戸大の慰霊式をきっかけに表に出るようになった。私にとって(神戸大の慰霊式)は大切な場。

▽坂本竜一さん=当時(工・3年)=の父、秀夫さん

 5時46分は養父市の実家で仏壇に手を合わせながら迎えた。

 だんだん息子のところに行くのが近くなってきた感覚がある。15年目くらいまではとてもつらかったが、「死ぬ=あいつ(竜一さん)に会える」という気持ちになってからは気が楽になった。「そのうち行くから」と良い思い出だけ心に残している。

▽鈴木伸弘さん=当時(工・3年)=の母、綾子さん

 (伸弘さんは倒壊した下宿の下敷きになり亡くなったが)下宿を決める時、もっと余裕を持って決めればよかったと後悔することもある。

 慰霊式には同じ境遇の人たちが集まるので、お互い元気で会えるのがうれしい。(伸弘さんには)「安心してこれからも無事見守って」と言いたい。

▽戸梶道夫さん=当時(経営・2年)=の父、幸夫さん

 震災遺族の中にも亡くなられる方が出てきた。1月17日の追悼行事が減るのも正直さみしい。

 毎年この時期か盆に、部活動の仲間が相変わらず来ていただいて、当時の思い出を話してくださるのがあり がたい。悲しいかな自分では忘れていくことも多いので。

 震災は神戸だけでなくいろんな場所で起きている。そういう日本に住んで生活していることに対して、どうしていくべきか今の学生にも考えてほしい。

▽母、戸梶栄子さん

 1年経つのは早い。神戸大は慰霊式以外にも時々来るが、来るたびに息子とのことを思い出す。22年も経って、神戸に住んでいない人は阪神・淡路大震災と言ってもピンと来ない場合もある。

 熊本地震で子どもを失った親がこれから自分と同じように苦しむんだと思うと、感情移入せずにはいられない。最近はちょっと揺れただけでも怖いと感じるようになった。

 22年もたつと、慰霊式に来ている遺族もみんな前向きになっていると感じる。自分も元気に人生を楽しみたい。

▽中村公治さん=当時(経営・3年)=の母、房江さん

 (映画研究会に所属していた公治さんの)監督作品を昔VHSテープにダビングしてもらったが、もうそれも(機械がなく)再生できない。それくらい時代が変わり月日が流れてしまった。(公治さんの人生が)言葉もなくあっけなく終わり、心がすっとしないまま。

▽藤原信宏さん=当時(経営・4年)=の父、宏美さん

 今年も慰霊式をやっていただいてありがたい。

 息子の下宿跡、東遊園地、そして神戸大学での慰霊式の3ヵ所を毎年訪れている、この慰霊式が終わらないと一年が始まらない。

 年を重ねるにつれて震災のことを思い出すのはきつくなっていく。高齢になりいつまでここに来れるのかは分からないが、「来年も会いましょうね」と周りの人と言い合う繰り返しでなんとか来ている。

▽母、美佐子さん

 早いもので22年たった。子どもが元気でいれば44歳になっていて、結婚もしているだろうし孫も見ることができただろう。今年も慰霊式をやっていただききっと子どもも喜んでいる。22歳のままで元気に頑張っているんだろう。

▽森渉さん=当時(法・4年)=の姉、祐理さん

 毎年弟のことを覚えていてくれるのは励ましになっている。震災から年月は経ったが命は伝えていくべきだしずっと覚え続けていくべきだ。特別な思いのあるここ神戸大でも慰霊式は継続していってほしい。

【他の参列者(順不同)】

▽大学文書資料室職員、木村泰子さん

 阪神・淡路大震災も大学の記録の一つということで参加した。震災時はまだ社会人3年目で、こんな大災害が起こるとは予想できなかった。結婚して子どももできると、22年という歴史を感じる。

▽ニュースネット委員会元編集長、副野吉史さん(1999年・経済卒)

 震災の年に生まれた人が大学を卒業するだけの時間が流れ、22年は一つの節目ではないかと思う。今の学生にも折に触れて震災のことを思ってほしい。昨年には熊本、鳥取で地震があったが、震災を考えるきっかけになるとも思う。

INDEX

加藤りつこさん「出会いに助けられた」

神戸大で慰霊献花式 遺族、教職員らが追悼

神戸大慰霊式に参列した遺族の話

神戸大学ニュースネット委員会

阪神・淡路大震災特集2017

MENU

© 2017 神戸大学ニュースネット委員会