神戸大学ニュースネット委員会

阪神・淡路大震災特集2018

大震災から23年 語り継ぐべきは

未来へ継ぐ

 

学生震災救援隊が「のんびり過ごす会」

記者=瀧本善斗

 ボランティアサークル「学生震災救援隊」は16日夜から17日未明にかけて、恒例の「1.17をのんびり過ごす会」を開いた。会場の「サポートステーション灘・つどいの家」には救援隊の出身者や関係先なども集まり、鍋を囲みながら学生らと震災当時を振り返った。

【写真】「1.17をのんびり過ごす会」の参加者ら(16日 撮影=瀧本善斗)

 午後7時半には江藤恒夫代表(工・3年)の発声で一同が献杯。昨年も上映された、灘区内各所で通行人らに聞いた震災の証言映像集を今年も上映した。

 広島県出身の救援隊部員、冨士原健斗さん(工・1年)は、昨夏に都賀川公園で神戸大生らが開いた復興祭「灘チャレンジ」で、震災をテーマにした寸劇に出演。準備の過程でも証言映像集を見たという。「他県から来た今の学生にとって震災は『そういうことがあった』というだけの印象しかない。救援隊で学ぶ中で、神戸の人たちにとって絶対忘れられない大きな出来事だったと実感できた」と話した。

 江藤さんは「この会は救援隊を救援隊たらしめている場。救援隊が続く限り、この会も続いてほしい」と話した。

 参加者らは震災発生時刻の17日午前5時46分、救援隊が震災時に活動した仮設住宅の跡地、大和公園(灘区)で黙祷する。

竸さんしのぶ会 今年も16日に現吉で

記者=下島奈菜恵・竹内涼

 今年も震災で亡くなった竸基弘さん=当時(旧自然科学研究科・博士前期)=をしのぶ会が16日、阪神御影駅近くの居酒屋「現吉」で行われた。「現吉」は基弘さんのアルバイト先。基弘さんの家族や友人、現吉の元オーナー夫妻などが集まり、再会を喜び合いながら会話を楽しんだ。

【写真】震災で亡くなった竸基弘さんの母、恵美子さん(16日 撮影=竹内涼)

 基弘さんの母・恵美子さんが名古屋の自宅から持ってきたのは、夫・和己さんが震災翌日に撮った基弘さんの下宿先の写真。写真の他に、震災直後の様子を和己さんが文字に起こしたメモも自宅に残っているという。「写真やメモを残すと、何十年経っても当時のことが思い出せる。(和己さんには)事実を伝えなければならない責任があった。(写真もメモも残した和己さんは)素晴らしいと思う」と恵美子さんは振り返る。

 基弘さんを知る元オーナー・広瀬陽子さんは「普段はなかなか思い出すことはないが、震災が近づくと当時を思い出す。基弘くんは個性的で目立つ子だった。彼のアルバイト姿は今でも覚えている。今生きてたら良いお父さんになってるだろうな」と話した。

雨中の黙祷 東遊園地でつどい

記者=竹内涼・前山幸一

 震災の犠牲者を追悼する「1・17のつどい」が東遊園地(中央区)で開かれた。来場者らは雨の中、震災の起きた午前5時46分に黙祷を捧げた。

【写真】「1.17のつどい」で祈りをささげる人ら(17日 撮影=西崎啓太朗)

 竹灯籠を並べて作られたのは「1995 伝 1・17」の文字。実行委員会が公募して決めた。雨のため、灯籠の火が消えぬよう来場者が傘で守る場面もあった。

 神戸に住んでいる親戚が震災で1人亡くなり、他にも被害を受けた人から当時の話を聞いたという大阪の大学に通う男子学生。関西に住み始めてから阪神・淡路大震災に意識が向くようになった。「世代としては、(僕たちは)震災を知らない世代。(でも、)一つ上の世代で(記憶を)途切れさせるのではなく、自分のこととして考えていかないといけない。身内に被害者がいる、いないは関係ない(と思う)」と話す。

 小学校の臨時教師の山東(さんとう)天馬さんは、つどいへの参加は今年で4、5回目。震災で亡くなった人の遺族ではないが、大学で防災を学んでいた関係でつどいを訪れた。「4、5年目で初めての雨。みんなで助け合って火が消えないようにしている。(震災が)語り継がれているんだと感じる」と話す。勤務先の小学校で行う防災教育で、追悼式の様子を伝えたいという。

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