「放棄」とは、学期末試験を欠席したり、答案用紙に「放棄」と記入したりすることで、授業の成績が「放棄」と表示されていた仕組み。単位不認定の評価である「不可」を成績表に載せないために、当日のテストの出来が悪ければ「放棄」を使うことでそれを容易に避けることが可能だった。しかし廃止により、今学期から単位不認定は全て成績上で「不可」と扱われることになった。
そして代替制度として登場したのが、すでに同志社大、関西学院大などが取り入れている「履修取消制度」だ。今学期は5月18日から31日までの「取消期間」が設けられ、学生は学内の教務情報サイト「うりぼーネット」で、自由に登録した科目の履修を取り消すことができる。ただ、取り消ししても、その単位数は年間に取得単位数の上限である「CAP」には換算されるので、十分注意が必要だ。
教育推進課によると、制度改革の理由は今年度の新入生から実施されるGPA方式の成績評価。「放棄」は正式な成績評価の指標ではなく、そのためGPA方式で厳格に数値化することもできない。学生の「放棄する」機会を守りながら、単位の実質化をはかるため、放棄廃止と取消期間の設置を同時に行った。
新制度に対する学生の評価も様々だ。ある経済学部の2年生は、そもそも履修を取り消す学生を問題視しているという。「確かに、中には面白くないなあと感じる科目もある。でも、せっかく授業を受ける機会を得たなら、「可」でもいいから勉強して、早いうちに単位はそろえるべき」と話した。また、海事科学部の2年生は「この時期に早々と取り消さないといけないのは、結構面倒だ」と、戸惑いを隠せないようだった。
単位の空洞化が叫ばれ、制度の改革が求められている日本の大学。神戸大の学生は、この「制度改革」でどのように「意識改革」するのであろうか。(記者=片山孝章、鈴木太郎)
※GPA(Grade Point Average)とは、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値のこと、あるいはその成績評価方式のことをいう。欧米の大学や高校などで一般的に使われており、留学の際など学力を測る指標となる。日本においても、成績評価指標として導入する大学が増えてきている。
出自=http://ja.wikipedia.org/wiki/GPA(2012年5月17日、午後13時10分現在)
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