50年ぶりの「卒業式」 10月27日に六甲台講堂で

 学園紛争の影響で、行われなかった1969(昭和44)年3月の卒業式。この学年の卒業生らが、半世紀の節目を機に10月27日(日)、「50年目の卒業式」を六甲台講堂で開催する。実行委員会はひとりでも多くの同期生に参加してほしいと呼びかけている。<玉井晃平>


(写真:六甲台正門付近でデモを行う学生と、それを取り巻く学生、教職員。1969年)

●学園紛争で中止に追い込まれた「昭和43年度卒業式」

 「50年目の卒業式」を行うのは、新制大学17回生。
 1965(昭和40)年入学の文・教育・法・経済・経営・理・工学部の学生と、県立から移管された医学部は1963年(昭和38年)入学の1期生の学生だ。
 卒業間近の1968年から69年にかけて、全国の大学で「学園紛争」が激しさを増し、神戸大でも相次いで各学部が封鎖される異常事態となるなかで、1969年3月の卒業式は実施できず、4月の入学式も中止に追い込まれた。

 「50年目の卒業式」の計画は、東京地区の学部横断の同期会「四四会」で「50年になるのを機に卒業式をやってはどうか」という声が上がり、その話が武田学長に伝わったのが発端。去年2月に呼びかけて、4月に大阪でメンバーが集まり本格的に動き出した。
 しかし、卒業生名簿は学部同窓会ごとにしかなく、全員加入制でもないため、「部活・サークルやゼミ・研究室などのあらゆるルートをたどって住所や電話番号を調べた」と、実行委員会共同代表の番尚志さん(経営卒、三菱倉庫特別顧問)は苦労を振り返る。
 ほとんどが72歳から74歳で、社会の第一線から退いた人も多い。最終的に、約1500人のうち、約1200人の連絡先がわかり、郵送で参加を募ったところ9月3日現在でおよそ300人から参加の意向が寄せられているという。

●一人一人に手渡された異例の“学長祝辞” 会場で読み上げも

 当時はストライキや学舎の封鎖という混乱のさなかにあって、卒業証書は学部ごとに異なる方法で1969年3月末に学外で手渡されたという。その証書には、当時の戸田義郎・学長事務取扱(故人、のちに第6代学長)の直筆コピーのメッセージが添えられていた。
 「学士試験合格証書を授与された諸君へ」と題されたメッセージには、「私は諸君におわびの言葉を述べなければならない。(中略)諸君のために全学合同学士試験合格証書授与式を持つことができず、また学部によっては単独の授与式すら開催しえなかった点であります」と、卒業式が中止に追い込まれたことに対する謝罪が前段にある。
 そして、「全学合同学士試験合格証書授与式を挙行することができた場合、その機会に私は諸君に神戸大学革新構想を語り、諸君からも自由な発言をえて、(中略)ともに大学の将来を論じて諸君とおわかれしたいという希望を持っていた」と、対話形式の卒業式を望んでいたことを明かしたうえで、「諸君との印象的な送別を持ちたかったのであります。この点は残念です」とむすんだ、異例の“祝辞”となっている。

 今回の「50年目の卒業式」では、このメッセージがあらためて読み上げられるほか、第14代となる武田廣・現学長からの祝辞も予定されている。さらに、グリークラブや混声合唱団アポロンの歌、神戸大の歴史についての講演、懇親会も予定されている。

●一人でも多くの参加呼びかけ 実行委

 参加費は、近畿6府県(兵庫、大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山)在住者は10000円。それ以外の都道県の在住者は7000円。同伴者出席の場合はそれぞれの半額。参加にあたっては、上着の着用を求めている。
 問い合わせは、実行委員会共同代表の番尚志さん(経営卒)yamaasobi_61[at]ac.em-net.ne.jp 、または、三谷史生さん(経済卒)yachtingmitani2218[at]Hotmail.com (送信時には[at]を@に置き換え)まで。
 参加申し込みは9月30日(月)まで。実行委員会は1人でも多くの同期生に参加してほしいと呼びかけている。

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