就活は、6月1日に「選考解禁」日を迎えて最終局面を迎える。今年はオンラインでの採用活動も定着し、学生側は昨年にも増して、どうパソコン画面を通じて自身をアピールするかが問われる年になりそうだ。神戸大キャリアセンターは、オンラインでの積極的な就活を呼びかけている。<佐藤ちひろ>
(写真:2019年までは対面中心だったが、2020年からはオンライン就活に一変した。2019年3月、神戸大の合同会社説明会)
めまぐるしく変わった就活スケジュールの歴史
6月1日は「選考開始」の日とされているが、「事実上の内定日」という企業もある。いずれにしても、就活戦線の決戦の日だ。
就活スケジュールはあくまでガイドラインで、その「解禁日」は社会情勢によって左右されてきた歴史がある。
就活スケジュールの設定は昭和20年代後半に始まり、景気に翻弄されながら、経済界と大学側、政府などの綱引きの中でめまぐるしい変遷があった。
朝鮮戦争の好景気のなか、採用活動の活発化で学業がおろそかになると言う声が大学側からあがり、1952年に文部省(現・文部科学省)と大学、日経連などで構成された就職問題懇談会が「就職協定」を設定し、紳士協定としてスタートした。
その後、就職協定は廃止と復活を繰り返す。
バブル期には、派手な青田買いが注目を集めた。
それまで協定優等生だったマスコミ業界でも、某新聞社が学生たちを缶詰にして囲い込んだことが週刊誌にすっぱ抜かれるなどして社会問題に。「協定」は形骸化し、1996年に完全に廃止された。
1997年には経団連が新卒採用のガイドラインとして「倫理憲章」を制定。「内定解禁日を10月1日」と定めた。
2011年にはこの「倫理憲章」が改定され、
▽広報活動解禁=3年生の12月1日。
▽選考解禁=4年生の4月1日(2013年卒から適用)に。
2013年にはさらに「採用選考に関する指針」に改められて、
▽広報活動解禁=3年生の3月1日。
▽選考解禁=4年生の8月1日(2016年卒から適用)と設定された。
さらに2018年卒からは、
▽広報活動解禁=3年生の3月1日。
▽選考解禁=4年生の6月1日。
という就活ルールが定められたが、経団連は2020年卒で指針を廃止すると決定。
2021年卒からは、政府の関係省庁連絡会議が現行スケジュールを継続することを定めて現在に至っている。
実際の就活の状況を見てみよう。
2019年(2020年卒の活動)は、3月1日から一斉に「合同説明会(合説)」が始まった。その後、エントリーシート提出や、オンライン説明会などを通じて早々と「内々定」を出す企業もあり、6月1日は「選考開始=事実上の内定日」という状況も見られた。
ところが2020年(今春卒)はコロナ禍のもと、採用スケジュールが乱れ、全てオンラインで採用活動を行なった企業も多く、大混乱となった。
今年(22年卒)の就活戦線は、企業側もオンライン対応に慣れ、比較的スムーズに採用活動が行われるという見方がある。一方で、景気の冷え込みから、業種によっては採用を絞り込む状況も見られている。
コロナ禍のもとでの就活 オンライン対応が重要に
神戸大キャリアセンターは、コロナ禍2年目の今年の就活では、いかに上手にオンラインを活用するかがポイントだという。
<セミナーや講座 気軽に参加>
就活のための対策セミナーや講座は、対面が圧倒的に減った一方で、オンライン講座がかなり増えた。学生にとっては、パソコンなどの機器さえあれば気軽に参加できるという利点がある。
<OB訪問 海外駐在員にも聞ける>
OB訪問がオンラインでできるようになったため、遠方に住んでいる先輩にも気軽に話が聞けるようになった。例えば、商社志望で海外駐在がしたいと思っている学生はオンラインで実際に海外勤務をしている人に話を聞いていた。
<対面での面接にも備えて>
去年はオンラインで行われる面接が増加した。オンライン面接の練習ばかりしていたために、最終選考で対面での面接になったときに練習不足で困ってしまった事例が多くあった。
<自分から情報を取りに行く姿勢が大切>
就活への心構えは基本的にはコロナ前と同じだが、インターネットで積極的に情報収集するなど、自分から情報を取りに行く姿勢が大事。就活には情報量の差が顕著に表れる。
<画面うつりや音声をチェック 安定した回線も重要>
オンライン面接ではイヤホンやマイクなどの機器の整備や、適切な場所の確保が必要になる。
騒音が混入する部屋でないかどうかチェック。また、カメラオフでの参加は認められないので、回線が安定しているかどうかも重要。背景は無色で飾りのないもがよいとされている。そうした環境は事前に整えておく必要がある。
キャリアセンターの講座では、1、2年生向けは参加人数が少ないことが多い。就活は前々から準備しておいたほうがうまくいく。
了
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