壷井達也選手(シスメックス所属、国人2年)は11月、フィギュアスケートのグランプリシリーズに初出場し、イギリス大会では5位、フィンランド大会では自己ベストを更新して4位となった。12月21日(水)からは全日本選手権に出場する。神戸大で勉学に励みながら、世界のトップレベルで戦っている壷井選手に、グランプリシリーズの振り返りや全日本選手権への意気込みのほか、大学での学びに関することなどをインタビューした。<尾畑陽貴、久保田一輝>
聞きて)グランプリシリーズの2試合を振り返って、感想をお願いします。
壷井)グランプリシリーズに行く前は「世界でどれくらい実力が出せるか」ということが分からなかったんですけど、1戦目2戦目と戦っていく中で、5位、4位という順位を得ることができて、表彰台には届かなかったんですけど「世界で戦える」という自信をつかむことができたと思っています。
聞きて)グランプリシリーズで刺激をうけた選手について教えてください。
壷井)1戦目2戦目ともに佐藤駿選手(明治大1年。イギリス大会3位、フィンランド大会2位)と一緒だったんですけど、両方とも彼には届かなかったので、そこはまだまだ自分の実力が足りなかったかな、という印象を受けました。あとは、2戦目でイリア・マリニン選手(アメリカ、フィンランド大会1位)と世界ジュニア選手権(4月)ぶりに一緒に出ることができて、彼は練習からも4回転の安定感とか凄かったですし、そういったところからも刺激をもらいました。
聞きて)海外遠征で言葉の壁を感じたことはありますか?
壷井)とっさに言いたいことがパッと出てこないことは結構あります。でも、他の国の選手とスケートの技術的な話をする時には知っている単語しか出てこないので、そういったことではあまり困ったことは無いですね。(同じ)競技をやっているからこそ分かりあえる部分が、普通の人々に比べると多いかな、と思います。
聞きて)大学の授業では、どんなことを学んでいますか?
壷井)今発達コミュニティ学科のアクティブライフプログラムというところに所属しているんですけど、スポーツ科学をメインで勉強していて、スポーツに関すること全般を学んでいます。運動中の心理的な部分や運動中の人間の動作などが中心ですね。一番良い状態が「緊張とリラックスの間にある状態」で「ゾーン」と言われてるんですけど、それに関することや、練習を毎日行っていく中でどういう風にしたらモチベーションを保ちやすいか、ということも大学で学びました。授業もスケートの練習に生かせるものが多いと考えています。
聞きて)大学生活で最近楽しかったことは何ですか?
壷井)イギリス・フィンランドと海外試合が続いていたので、それらが終わって初めて大学来た時に久々に友達に会って、「お疲れ」とか「おめでとう」といった言葉をかけてもらえたのは結構うれしかったです。
聞きて)最後に、全日本選手権に向けての意気込みをお願いします。
壷井)グランプリシリーズでは、怪我の影響もあってフリーで4回転を1本しか入れられなかったんですけど、全日本では2本入れる予定なのでそれを完璧に滑り切りたいです。また、昨シーズンが9位だったのでそれ以上の成績を収められるように頑張っていきたいと思っています。
第91回全日本フィギュアスケート選手権大会は、12月21日(水)から25日(日)まで、大阪府門真市の東和薬品RACTABドームで行われる。壷井選手の出場する、ショートプログラムが23日(金)の16時22分から、フリーが25日(日)17時からだ。また全日本選手権は、2023年2月にアメリカで行われる四大陸選手権と、3月に埼玉県で行われる世界選手権の日本代表最終選考会を兼ねている。今大会の結果次第では壷井選手も選出される可能性がある。
壷井達也(つぼい・たつや)
2002年生まれ。愛知県、中京大中京高校出身。2021年4月、神戸大学国際人間科学部発達コミュニティ学科に入学し、現在2年生。2022年4月の世界ジュニア選手権で3位。同月に日本スケート連盟の今年度特別強化選手に指定され、6月にはシスメックスへの所属が発表された。2022-2023シーズンからシニア級デビュー。初挑戦となったグランプリシリーズでは2大会に出場し、イギリス杯で5位、フィンランド杯で4位だった。昨年9位に終わった全日本選手権での6位以内という目標に向かって、自身の強みである、流れるようなスケートが期待される。
了
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