壷井達也「悔しいが、挑んだことは来季につながる」 全日本で9位

 フィギュアスケート全日本選手権の男子FS(フリー)が12月25日、大阪府門真市の東和薬品RACTABドームで行われ、壷井達也(シスメックス所属、国人2年)が出場した。構成には4回転を2本組み込む挑戦をしたが、1本目は成功も2本目は転倒。その後は安定した演技を見せた。総合221.17点で9位となる。大会後、壷井は2月にアメリカで行われる四大陸選手権の補欠に選出された。<本多真幸、久保田一輝>

(写真:全日本フィギュアスケート選手権で総合9位となった壷井達也。2022年12月25日、大阪府門真市の東和薬品RACTABドームで)

 楽曲はNathan LanierのTorn Reduxで振付はMassimo Scaliさんが担当した。9月に肩を脱臼して以降、4回転ジャンプが安定していないが、2つ構成に入れて臨んだ。演技の最初は、4回転サルコウと3回転トゥーループのコンボ。重厚感のある曲の入りで会場に張り詰めた雰囲気が漂う中、見事に成功させて、拍手に包まれる。出来栄え点も3.05と高い評価を得た。しかし、次の4回転サルコウでは転倒。客席から「ああっ」という声もあがった。

 壷井は序盤の演技を振り返って、「コンボは練習の中でも自分の中で一番いいジャンプが跳べたかなって思います。ただ、やっぱり4回転2本目は、どうしても一本目の成功があって少し気が緩んで、本来のいつもの4回転は跳べなかったかなって印象を受けてます。」と話した。

 しかし、その後は安定感のある演技を見せる。ジャンプでは美しい3回転フリップや3回転ルッツを決めた。スピンでは3本中2本が最高評価のレベル4を得た。それでも4回転で失敗したのは残念だったのか、演技終了後には、歯を食いしばって下を向き、明るい表情ではなかった。

(写真:演技終了直後、俯く壷井。)

 結果は、技術点(TES)が75.03、演技構成点(PCS)が72.30、減点は1.00で、合計146.33点でFS9位。23日のSP74.84点と合わせて総合221.17点の9位となった。総合得点は昨年の235.21点と比べて下がり、目標としていた6位には届かない、悔しい結果となった。

 壷井は、「得点が昨年の自分よりも低くなってしまってそこが一番悔しいです。ただ、得点には残らなかったとしても4回転2本に挑んだことは来シーズン以降絶対につながってくると思うので、得点とは別に挑戦した自分をまずは称えたいなと思います。」と前向きな姿勢を見せた。

 また、今季の主要な大会は終わったが、1月には北海道での全日本インカレ、アメリカでのワールドユニバーシティーゲームズがある。壷井は、「本当に今回すごい悔しいので全日本の悔しい気持ちを忘れずに年明けの試合も全力で挑みたいなと思います。」と意気込んだ。

 なお、今大会は、2023年2月にアメリカで行われる四大陸選手権と、3月に埼玉県で行われる世界選手権の日本代表最終選考会を兼ねていた。大会終了後に代表選手が発表され、四大陸選手権の男子代表には、島田高志郎(木下グループ)、佐藤駿(明治大)、三浦佳生(オリエンタルバイオ日大高)が選出された。友野一希(上野芝スケートクラブ)、山本草太(中京大)に次いで、壷井は3番目の補欠に選ばれた。

 以下は試合後のインタビュー。

―—全日本選手権の全体を振り返っていかがですか。
 グランプリシリーズを2戦戦ってきて、シニアで戦える手ごたえはつかめたかなって思ったんですけど、やっぱりこの日本っていう男子も女子もレベルが高い中で、まだまだ自分の実力が足りないって思いました。ただ、ここで終わりではないので、もっともっと来シーズン以降上を目指したいなって思いが強いです。

――演技の前後で、中野園子コーチから何を言われましたか。
 (演技の前は、)「グランプリ終わってからここに来るまで達也はすごい練習を頑張って来たからそれを信じてやるように」と言われました。演技後は「まだまだもっと上を目指さないとね」ってことは言われました。

(写真:演技の直前、中野園子コーチに背中を押される。)

――23日のSPでは、プレッシャーからミスが出てしまっていたが、フリーではどうでしたか。
 SPは11位という結果で終わってしまったので、プレッシャーも何もなく、ただ本当に攻めるって気持ちだけをもってフリーは演技することができました。

――前日の女子フリーでは、同門の坂本花織選手と三原舞依選手が1位2位フィニッシュ。
 昨日の女子最終グループは、ちょうど会場に見に来ていて、自分がいつも一緒に練習しているチームメイトの2人が本当に素晴らしい演技で、心から感動しました。ただ、そこに本当に続きたかったなって思いは強いんですけど、やっぱり試合でまとめきれないっていうのは自分の実力のなさ、2人のように世界で戦っている姿をもっともっと吸収して、もっともっと自分に強くなりたいなって思いました。

――練習ではどのようなことをしていますか。
 神戸組(中野園子コーチらの下、神戸で練習する選手たちのこと)では冬のシーズンになると朝練が毎日続いて、そこで、自分の場合4回転1本のときはノーミスで滑ることができていたんですけど、2本になってから朝の体が動かない状態でノーミスで滑ることがなかなかできなかった。なので、極限まで体が動かない状態でできるようにして、本番どのような状態であっても練習通りっていうのをできるようにしたいです。

――学業との両立はできていますか。
 グランプリとかもあって忙しい日々は過ごしましたけど、昨シーズンに自分なりに両立できる方法はいろいろ考えながら実践することができたので、今シーズンはそこまで大変なことにはなってないです(笑)。

――これからやっていきたいことはありますか。
 オフシーズンのころはトゥーループをずっと練習していて、肩の脱臼もあってなかなか最近は練習できてないですけど、また練習を再開したいと思います。

――愛知県で小さいころから一緒に練習していたという横井ゆは菜選手(邦和みなとSC)が昨日、今季での引退を表明しましたが、どう受け止めていますか。
 昨日初めて知りました。小さいころから姉のような存在で、クラブでずっとお世話になってきて、小さいころから頑張って来た選手が引退っていうのを聞くと、本当に自分も上の立場になってきたなというのは感じます。また横井選手の明るい部分だったり、練習で人より頑張るところだったり、そういうところは自分にとっても大きな刺激になったなって思います。本当に今は「お疲れさまでした」ってことを言いたいです。

(写真:演技中の壷井。)
(写真:演技の最後でポーズを決める。)

《第91回全日本フィギュアスケート選手権大会 @東和薬品RACTABドーム(大阪府立門真スポーツセンター)》

(画像:男子フリーの結果。)
(画像:男子の総合順位。)

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