国際文化学部の塚原研究室による、映画「311」上映会とシンポジウム「ポスト311をめぐる考察と対話」が10日、百年記念館で行われた。「311」の共同監督の1人であり、ドキュメンタリー作家である森達也さんと、脱原発デモなどをすすめている神戸大学院生の横山純さんの二人をゲストに迎え、東日本大震災後の日本について鋭い意見が交わされた。【6月13日 神戸大NEWSNET=UNN】
今回のイベントを主催したのは、科学と社会のかかわりについて研究を進めている塚原研究室。大飯原発や高速増殖炉もんじゅなどでのフィールドワークを進める一方、昨今の社会状況を考慮し、現状を詳細に分析することから「学生と社会のかかわり」のきっかけをつくろうと企画した。
森さんと横山さんに学生二人を交えたトークセッションでは、東日本大震災後の日本に蔓延する「後ろめたさ」が様々な視点から語られた。森さんは、震災を免れ生き残ったものとしての「後ろめたさ」、地震をつい忘れて日々を過ごしてしまうことへの「後ろめたさ」など、非被災者が日常で薄々感じていたことを明示。また自身がメディア側であることの自覚から「人の不幸を撮りにいくマスコミ」が「より絵になる」悲惨な犠牲者を求めてしまうことへの「後ろめたさ」をも明らかにし、メディア側の人間も含めた日本国民全員に該当する、非常に大きな問題を提起した。
最後に行われた客席を交えた全体討論では、30分間の予定を超えてしまうほどに意見を求める人が続出し、イベント終了後にも個人的に森さんと話し込む人も多く見られた。来場した発達科学部の4年生は「(今日改めて)感じた後ろめたさが前向きに考えるきっかけとなると思う。これからどう行動していくかが大事」と話し、イベントの目的は十分に果たされたようだった。
※映画「311」:今回のゲストである森さんをはじめとする4人が、震災発生後の被災地に乗り込んで撮影したドキュメンタリー映画。被災地の状況だけではなく、普段カメラの前に現れることのない制作側の人間も撮影し、被害を免れ生き残った者としての、「人の不幸を撮りに行くメディア」としての「後ろめたさ」を生々しく映し出した。当初は公開する予定のなかった「311」は、評価が完璧に二分される「問題作」となった。
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