六甲祭のコンテスト「THE Campus KOBE」の出場者(ファイナリスト)の一人が、8月6日、「コンテストを棄権する」とTwitterで表明した。「運営側からフォロワーの購入を一方的に疑われ、きちんとした説明もなくペナルティーを課せられたのは心外」というのが主な理由だった。運営側は直ちにこのツイートを削除。双方の話し合いが長引き、9月2日までコンテストが中断する事態となった。運営統括は退任、出場者はコンテストに復帰したが、謝罪文や詳しい経緯がネット上に発表されるなど異例の展開となった。<塚本光>
事の発端は、8月6日。今年から男女問わずエントリーできるようになった六甲祭のコンテスト「THE Campus KOBE」(@THE_Campus_KOBE)。その出場者の1人、エントリーNo.3の五十嵐百音さん(工・2)がファイナリスト用のTwitterアカウント(@tck2021_03)で棄権を申し出て、今回の問題が表面化した。
ところが、このツイートは、直後に運営側によって削除されるという事態に発展した。
8月6日、「投稿も運営スタッフの方に勝手に削除されてしまうのですね。再掲ですが、ご一読下さい。」と再度ツイートした。ここには、メモのスクリーンショットが掲載され、「審査基準の一つであるフォロワー数を購入したと疑われ、アカウントの作り直しを命じられたが、購入を認めたことになるので棄権する」いうものだったが、これも運営側に削除された。フォロワーを購入したかどうかを五十嵐さんが調査した結果も掲載されていた。
同日、運営側は、Twitterで、8月6日、「エントリーNo.3五十嵐百音さんの件についてですが、ただいま調査中ですので今しばらくお待ちください」とツイートした。
翌日8月7日には、「エントリーNo.3五十嵐百音さんの件についてご報告いたします。」という題名で説明文を掲載した。
運営側の主張は、出場者側に不正があった、というものだった。
不正の内容は「フォロワーの一部が購入されたものである可能性が高い」と説明された。
【「エントリーNo.3五十嵐百音さんの件についてご報告いたします」の全文】リンク
(画像:「エントリーNo.3五十嵐百音さんの件についてご報告いたします」)
取材に対し、「しばらくお待ちいただけますでしょうか」と運営側
8月7日以降、THE Campus KOBEの運営側、出場者の五十嵐さん双方のツイッターには、しばらく動きがなくなった。
8月17日、ニュースネットは、運営側にTwitterで取材を申し込んだが、「ただいま当該問題については対応中であり、近日中に正式な説明文を掲載する予定ですので、いましばらくお待ちいただけますでしょうか」との返答があった。
8月24日 運営側から謝罪文と説明
動きがあったのは、8月24日正午過ぎ。謝罪文が運営側からTwitter上にアップロードされた。ここでは、運営統括の退任もあわせて発表された。
先に上げられた「運営の不適切な対応に関する謝罪文」には、
・五十嵐さんとしっかり話し合わずに運営側で一方的な判断を行ったこと。
・五十嵐さんを疑っていることを強調した文面を、プレッシャーを与えるように伝えたこと。
・運営の主たる権限を持つ統括、副統括、その他三回生による独断で不正と決めつけ、(中略)運営全体の意思で処分を行っているかのように伝えたこと。
・全く客観的でない曖昧な基準に照らし合わせて不正が行われていると判断したこと。
・五十嵐さんから指摘を受けても、偏った調査であることについて認めず、私たちの主張が正しいと強引に進めようとしたこと。
・対処としてSNSアカウントの作り直しを決定し、一方的な対処をしたこと。
などが書かれていた。
【「運営の不適切な対応に関する謝罪文」の全文】リンク
(画像:「運営の不適切な対応に関する謝罪文」)
謝罪文には、責任をとって運営の統括が退任したことも伝えた上で、文末には、「ファイナリストの方々やファンの皆様、並びに関係者の皆様、お詫びとご連絡が遅くなったこと、また、この期間内のファイナリストの方々の活動に支障をきたしたこと、心より深くお詫び申し上げます」、「今後の方針が決まり次第、速やかにお知らせいたします」と締めくくられていた。
同時に掲載された、「運営の不適切な対応に関するご説明」では、経緯、コンテストの規約、フォロワー数を審査に含んだことなどの詳細が書かれていた。
ここには、
・その後の五十嵐さんのとのやりとりの中で、「運営としての判断です」「あなた自身の疑いが完全に晴れたわけではございません。」などと、返答を行い、運営全員から疑われているという印象を与えた。
・話し合いの結果、五十嵐さんがコンテストを継続することになった。
と記され、Twitter、Instagramで運営が独自に設定した購入されたフォロワーか調べるための「基準」も記載された。
今回、出場者の途中辞退ができないができないことも問題になったが、それは「規約」に記されていたことも公にされた。
・第一項「(前略)病気や怪我または何らかのやむを得ない理由以外での期間中のファイナリスト活動の休止・辞退は認められない。
今後、規約については「見直しをする」と説明された。
【「運営の不適切な対応に関するご説明」の全文】リンク
(画像:「運営の不適切な対応に関するご説明」)
同日、五十嵐さんからは「経緯」など公表
8月24日の23時ごろ、出場者の五十嵐さんもTwitterに「活動を再開するに際しての考え」と「これまでの経緯」を投稿した。この文書は運営が修正を加えずにアップロードされた。
「活動を再開するに際しての考え」では、
・謝罪がなかなかなく精神的に疲弊している中、弁護士に相談する準備も始めた旨を伝えると、謝罪がもらえた。
・休止中にも応援してくれた人への恩返しはグランプリを取ることだと思い活動を再開すること。
などが記されていた。
また、文章中には、「今から復帰をしても、棄権を表明してからすでに十八日が経過しており、その間私は完全に活動を休止していたので、他のファイナリストの方に比べて不利な状況です。仮にグランプリを獲ることができたとしても、不正をした、或いはこれ以上騒ぎにならないように運営が無理矢理優勝させたのではないかという目で見られるでしょう」とあり、「性別の差別を排するという名目で始まったTCK(編集部注:THE Campus KOBE)において、個人的に差別をされた私は、TCKそのものに以前のような希望を見出すことができません」と、正直な思いも語られている。
【「活動を再開するに際しての考え」の全文】リンク
(画像:「活動を再開するに際しての考え」)
9月2日、ようやくコンテスト再開
ニュースネット委員会は、運営側の謝罪文や五十嵐さんの「経緯」などが発表される前の8月17日に、五十嵐さんに取材を申し込んだが、「運営にアポを取って欲しい」との回答だった。
THE Campus KOBE運営担当に取材を申し込んだところ、「五十嵐さんへの取材はお断りさせていただきたく存じます」、「五十嵐さんがおっしゃられたいことは昨夜出された(編集部注:Twitter上に掲載された)文書に掲載されてあると思われる」との回答があっただけで、五十嵐さんのコメントは取材できなかった。
9月2日には、THE Campus KOBE運営側は、「今後の方針」をツイッターで発表。コンテストの活動が本格的に再開されたことを報じている。審査方法の変更、五十嵐さんの活動休止期間中の補填、再発防止策が行われることが発表された。
8月24日に五十嵐さんから発表された「これまでの経緯」には、今回のいきさつが詳細に記録されている。全文は以下の通り。
―――――――――――
8/6 12:15
続括からTwitter、Instagrm、Tikkのアカウントの作り直しを要求され
る。
16:00
棄権する旨をツイート。
16:30
運営によるツイートの削除。
8/7 12:00
「五十嵐百音さんの件について」という文書が公式アカウントにてツイートさ
れる。
19:30
棄権を撤回する条件として
?私に対しての個人的な謝罪
?公式SNSでの謝罪文の掲載
3統括の退任
?現SNSアカウントの存続
を要求。
8/8 17:00
ファイナリストのみで話し合い。
私の現SNSアカウントの存続と、新たな審査基準の設定をファイナリストの総
意として運営に発表。
8/9 1:50
運営から「統括の退任」という要求を取り下げるよう求められ、これを拒否。
16:16
私の現SNSアカウントを存続させると運営が決定。
8/10 18:00
13日の19:00までに謝罪がない場合は、以降弁護士を通してしかお話しできな
くなるという旨を運営に伝える。
8/11 11:34
本日中には謝罪をするという旨が統括から伝えられる。
23:45
私の処罰を決定した5名の方からの謝罪をいただく。
8/13 22:20
謝罪以降何の連絡もないが、どうなっているのかと運営に質問。
8/14 0:55
ZOMでの話し合いを提案されるが、直接話したくないという理由でこれを拒
否。
LINEでの話し合いをお願いするが、どうしてもZ0Mが良いと言われ、これを
承諾。
13:28
8/16の10:00~ならZOMでの話し合いに出席できると提案。
15:27
その時間は運営の方にアルバイトの予定があり、難しいと伝えられる。
16:51
8/17の10:00~なら可能であると再度提案。
8/15 11:30
上記時間帯で話し合いが可能であるとの報告を受ける。
8/17 10:00
話し合いにより、改めて謝罪および経緯の再確認。
ここで、統括の退任が決定したことが報告される。
これから公式SNSで公開する謝罪文の制作に取り掛かる旨が伝えられ、2回目
のZ00Mによる話し合いを求められる。
8/18 1:14
8/19の10:00~ならZOMでの話し合いに出席できると提案。
23:14
謝罪文の原案が届く。
私の処罰を主に決定した5名の方が制作したものはあまりに挑戦的であったた
め、その他の3回生の方が代筆したものであるという報告を受ける。
8/19 0:39
本日10:00~の話し合いの開催は運営の都合により難しいとの連絡。
1:16
8/20の10:00~なら可能であると再度提案。
20:24
謝罪文に一部変更を要求。
21:02
8/20の10:00~も運営の都合でZOOMによる話し合いはできないとの連絡。
LINEによる話し合いに切り替えてほしいと再度お願いする。
8/20 0:54
2OOMでの話し合いは行わず、LINEでの話し合いに切り替えることを運営が承
諾。
8/21 16:27
謝罪文に運営が訂正したものが提示される。
8/22 1:56
更に私が変更を要求、運営に承諾される。
7:54
公式SNSに掲載する経緯を説明するための文書の案が提示され、これを承諾。
8/23 8:54
経緯の説明文書の第二案が提示され、これを承諾。
8/24 0:22
経緯の説明文の決定稿が提示され、これを承諾。
0:24
謝罪文及び経緯の説明文を本日 12:00に公式SNSに掲載するとの連絡を受け
る。
―――――――――――
(画像:「これまでの経緯」)
了
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