辛い編集作業が続いた。被災された学生、教職員の皆さんのご家族への、追悼記の依頼状発送。着信の電話確認。▼三分の二のご家族は『記録に残すのなら協力しましょう』『共に神大に学んだ学生がいたことを忘れないでください』というご返事だった。▼三分の一のご家族からは『もう思い出したくない』『プロフィールだけにしてください』というお応えだった。『今も神戸で生活していると信じているのです』というお母さんに、記者はかける言葉を探したがみつからなかった。▼約六百字という制限に『その短さに入りきらないんです』というお気持ちにも、うなずくしかなかった。▼冷たく静かな空に、黒い煙のたなびくあの光景がまぶたに焼き付いている。辛くて忘れたいが、忘れてはいけない、あの日が来る。(1月17日発行本紙1月号 コラム『伏流水』から)
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