昨年の今頃、私は大阪大学で神大の前期入学試験をうけていた。阪神大震災による特別対応のためだ。◆思い起こせば一年少し前のあの時、私は大阪の自宅で寝ている途中であった。足元が何やら重いなと思ったら29型のテレビが倒れていた。すごい地震だと思ったが、その時はまさか神戸が悲惨な状況になっているとは想像もつかなかった。◆私が改めて震災の凄まじさを実感したのは入学手続の時だった。三月であったがまだ解体工事の手もつかず、また交通手段も阪神が御影まで運転していただけであとは代替バスしかない状態だった。手続の帰り、代替バスから見た光景は想像を絶する凄まじさだった。とんでもない所へ入学したものだと思った。忘れられない光景だった。◆あれから一年と一ケ月。街は活気をとりもどしつつあるがその精神的な傷みは消えない。神大も学生と教職員合わせて四十四人の犠牲者を出した。一・一七、忘れてはなるまい。(2月25日発行本紙2・3月合併号 コラム『伏流水』から)
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