《速報》その瞬間、メガホンが舞った アメフット入替戦

 「五、四、三、二、一……。やったーっ!」快晴の長居球技場にその瞬間、オレンジのメガホンが舞った。奇しくも去年、残り四十二秒でまさかの逆転負けを喫した時と同じ相手、同大。今度こそは借りを返すぞという応援の気迫が、レイバンズ勝利へと導いた。
 前半は決していい展開とはいえなかった。相手陣内に攻め込んではいるものの、あと一歩がない。応援団員の中にはいらだちからベンチを足で蹴る姿もみられた。「意地見せたれ!」「つぶしたれ!」そんな声があちこちから聞こえた。
 「レイバンズを1部に上げてやるのは俺たちの応援しかない」ハーフタイムの応援団員のこの一言が、スタンドの雰囲気を変えた。
 第3Q開始直後、学生歌「この丘に」が高らかに鳴り響いた。QB大西がその声援に応えたのか、ロングパスを決め、一気に流れは神戸大へ。そして同点に追いつくと、ワアッと大歓声が沸き起こった。”KOBE WAVE”ののぼりとともに観客席からウエーブが起こる。
 第4Qに同大が再度逆転するが、神戸大の応援陣営は少しも動揺しない。むしろそれを微塵も感じさせないようなパワーがあった。スタンドには負けている気配なんてない。
 試合終了まで残り一分五十秒、同点のタッチダウン。続いてTFPも決め逆転。観客と選手の願いが通じた瞬間だ。
photo  残り三十二秒からカウントダウンが起こった。昨年とは全く逆だ。目に涙を浮かべる人、堅く拳を握りしめる人……。十秒前からは選手と観客が一体となってのカウントダウン。そしてついに1部復帰が決まった。この時ばかりは白い歯を誰もが見せていた。西日が選手に降りそそぎ、あたかも1部復帰を称えているようだ。
 スタンドで、チアリーダーの山本由美子さん(営・四)は、顔をくしゃくしゃにして、感激のあまりだれかれとなくまわりの人たちの手を握っている。今回が現役最後の応援だ。前日は国文グラウンドで、レイバンズの練習にあわせて、応援団、吹奏楽部が一緒になって、試合さながら最後の「リハーサル」を行ったという。「信じていました。観客の皆さんと一緒に喜びをわかちあえて、本当にうれしいです。来年は京大を倒して是非甲子園ボウルに出てほしい」。
 今シーズン大活躍のQB大西は今年の夏にケガをし、復帰が秋の中盤と遅れた。「僕が抜けて随分迷惑をかけてしまって…。でもその間に二回生の川島が頑張ってくれて。今までQBだった高橋が今回RBにまわったので僕が頑張らないといけない気持ちが強かった」。
 三年生の大西は、来年にむけて「1部は今年みたいにミスしてたら絶対勝てない。でも京大にはなんとかして勝ちたい」と言葉をかみしめていた。

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