学内で結核患者が発生 「集団感染の可能性低い」

今年七月に神戸大の二年生から排菌を伴う結核患者の発生が確認された。クラブ活動などで比較的長時間、患者と接する機会のある「濃厚接触者」約五十名はすでに同月七日に定期外健康診断を受けた。現在のところ「濃厚接触者」から新たな結核患者は発見されておらず、保健管理センターは「集団感染の可能性は低い」と話している。同センターでは患者の学部、性別などは発表していない。【9月13日 神戸大学NEWS NET=UNN】

   結核は発病してもすべての発病者が他人に感染させるというわけではない。レントゲン検査で肺に「影」がみられ、咳をするようになっても咳の中に結核菌が含まれていない場合は感染させる可能性はない。
ところが、結核菌を含んだ咳をしたり痰を吐いたりする「排菌」の段階まで進むと、他人に感染させる可能性がある。
今回発病した学生は「排菌」の段階まですすんでいた。

「集団感染の可能性は低い」
同センターによると、この学生は初め咳が続き、センターで診察を受けたところ、風邪と症状が似ているため様子をみることになった。しかし今年七月上旬に喀血。救急病院を受診したところレントゲン診査で「影」が発見され、痰の中に結核菌が含まれていることがわかった。現在は入院中である。
七月七日に患者と接することの多い、クラブの所属部員など約五十人が「濃厚接触者」として定期外健康診断を受けた。また九月にはツベルクリン反応検査が実施され、強陽性反応者に対しては念のため予防内服を行うことになった。過去の自然感染やBCG接種によってもツベルクリン反応が陽性を示すことがあるため、これらの者が今回新たに感染したかどうかはわからないとしている。
この学生の学部の授業は冷房のない窓を開けた教室を使用しているため、同じ授業に出席した程度では感染の可能性は低いというが、該当する講義の選択者は「その他の接触者」として必ず定期健康診断を受検するように呼びかけている。
現在のところ「濃厚接触者」から新たな結核感染者は発見されておらず、同センターは「集団感染の可能性は低い」としている。濃厚接触者には来年一月と七月にも検診を行い、新たな発病者が出ないか経過を見ていく。

一番の予防は「定期的」な診断を受けること
患者は新入生健康診断時の胸部レントゲン検査では「異常なし」だったが、約一年半経って発病している。結核を発病しているか否かは通常レントゲンで「影」が発見されない限りわからず、早期発見のためには定期的な診断を受けることが一番だという。
最近、若年者と高齢者の結核が増えていて、兵庫県は結核罹患率が大阪に次いで全国第二位の多発地帯。神戸大でも毎年のように、無症状の人の中から定期健康診断で排菌こそ伴わないものの、活動性結核の人が発見されていた。二、三年次生は定期健康診断の受診率が十一パーセント(平成十一年度)と極めて低い。
「影が出てから排菌し始めるまでの間に発見したい。そのために学生はきちんと定期健康診断を受けてほしい」と同センター長の馬場久光教授。「定期的な」検診を徹底するため、来年度から二年次生も四月にそろえて健康診断を行う対策をとる予定だ。

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