九月十四日、十五日。私が心から待ち望んだ日がついにやって来た。そう、岸和田だんじり祭りの日だ。
▼私は子供のころからだんじりを曳いている。大学生になった今でも祭りの日は心が騒ぐ。私の役は、太鼓をたたく鳴物係。太鼓の音は最高だ。
▼全員が太鼓のリズムに乗って、だんじりを曳く。十四日の朝六時。曳き出しが始まる。朝日が差し込む中、一斉に各町のだんじりが動き出す。最高の瞬間だ。昼間にパレードがあり、午後五時までだんじりを曳き回す。
▼夜は提灯を灯してゆっくりと歩く。昼とは違った味がある。昼が動ならば、夜は静。子供たち、お年寄りが増える。日が変わって十五日。宮入りの日だ。だんじりを神社に持っていき、祈祷を受ける。
▼だんじりは神からの授かり物だということだ。宮入がすむと、午後五時までだんじりを曳き回す。夜は寂しさ漂わせ、提灯を灯しゆっくりと歩く。祭りの最後はだんじりを小屋になおし、だんじりを前に涙の嵐。
▼子供から大人までだんじりを愛する気持ちは一緒だ。だんじりのために町全体が団結する。これもだんじりの魅力の一つであろう。祭りが終わると涼しい秋風が吹き始める。寂しさをやや感じる今日この頃である。
※本紙「神戸大学NEWS NET」十月号のコラム「伏流水」を掲載しました。
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