神戸大の医学部付属病院で医療事故が発生した。六十四歳の女性の手術中に人工呼吸器のバルブを取りつける際に医師が操作を誤り、呼気側と吸気側をつけ間違えたため呼吸困難で死亡した。同病院が二十一日夜、兵庫県警に届け出たことで判明。二十二日午後四時から記者会見が行われた。【10月22日 神戸大学NEWS NET=UNN】
医学部付属病院が配付した記者発表資料によると、この女性は今年九月十六日に解離性大動脈りゅう破裂のため下行大動脈人工血管置換の手術を行った。この際に取り付けた人工血管に感染が見られ、十月二十日午後三時五十五分から緊急手術をした。
手術中は人工呼吸器による呼吸管理を行っていたが、しだいに血中酸素濃度が低下。これを改善するため、PEEPバルブ(呼気に圧力を加えて肺を膨らませる方向弁)を人工呼吸器に装着した。
その後さらに換気不良となり酸素飽和度が低下、二十一日午前一時に心停止、心マッサージを開始した。一時蘇生したため午前二時四十分にICUへ帰室、移動用の気管内チューブを接続したところ胸郭運動に改善が見られた。そこで呼吸器回路を確認すると、本来呼気側にすべきPEEPバルブが吸気側に装着されていることが判明した。
患者はICUへ帰室後、心拍数が消失、二十一日午前四時三十八分に死亡した。PEEPバルブ装着の際の過失により、酸素が供給されなかったことが死亡原因とみられている。
※解離性大動脈瘤=動脈は内膜、中膜、外膜に分かれており、中膜が裂けて動脈が拡大したものを解離性大動脈瘤という。この病気の原因の一つに動脈硬化が考えられている。(国立循環器病センターホームページhttp://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/Sick/sick81.html参照)
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