自劇12月公演「千夜幻双記」―「俺は俺だ!」

十二月十六日の午後二時から、自由劇場十二月公演「千夜幻双記」が六甲台講堂で行われ、彼らの想いが観客を魅了した。【12月16日 神戸大学NEWS NET=UNN】

 午後一時三十分に開場した六甲台講堂にはたくさんの人が訪れた。自由劇場のメンバーは訪れた人々にていねいに応じ、パンフレットを配布。それとともにカイロを 配ったり、フリースを配ったり、気温の低い講堂を考慮した心遣いが開演前から表れていた。会場は落ち着いた雰囲気で、開演を前に「楽しみだね」という観客の声も。
 午後二時。「千夜幻双記」が始まった。主人公の夢の場面から物語が始まり、現実世界に戻る。観客を少しあ然とさせた。しかし、この主人公の夢が物語りの重要な部分になっており、途中何度も夢のシーンが出てくる。物語が進む中、主人公の出生の秘密が明らかになる。それに苦悩する主人公。しかし、その想いを打ち砕くために日本に闘いに行く。クライマックスでの主人公の「俺は俺だー」というセリフに観客は酔いしれた。激しいアクション、ユーモア、シリアスな部分がテンポ良く表現され、観客は徐々に劇の世界に引き込まれていった。
 公演が終わり、観客として京都から神戸に足を運んだ京大生(二〇)は、「様々な人間の気持ちを考えさせられる作品だった。ストーリー展開もうまく、飽きることなく知らない間に二時間弱が過ぎた。」と、神戸に来たことに満足そう。自由劇場のファンでよく見に来る神戸大生(発達・二年)は、「演技だけでなく、映像、音楽もすばらしく、全てが観客を満足させるものになっている。訴えたいものが伝わってきており、観客に対する配慮もすばらしい。」と話す。講堂を後にする観客に対し、温かいお茶を出す自由劇場の温かい配慮もあってのコメントだ。
 演出の長井孝之さん(工・三年)は、「役者一人一人の心意気が出せた。二ヶ月の練習の成果が出せて良かった。」と満足げに話す。さらに、長井さんをはじめ劇団員全員が帰っていく観客の顔を見て笑顔が絶えなかった。

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