震災犠牲者聞き語り調査会(代表=室崎益輝教授)は、震災から六年を迎えた一月十六日から十七日にかけ、六甲台の慰霊碑前で、東遊園地から分灯した「希望の灯り」を灯した。【1月17日 神戸大学NEWS NET=UNN】
「希望の灯り」は昨年、犠牲者の鎮魂と復興への願いをこめ、東遊園地内の「慰霊と復興のモニュメント」に設けられたガス灯。
一月十六日、同遊園地で行われた分灯式で、約六十ヶ所に分灯された。これに参加し、慰霊碑で灯をともしつづけたのは、工学部・都市安全研究センターの室崎益輝教授を中心に、室崎研究室の学部生や院生が参加している「震災犠牲者聞き語り調査会」のメンバー。震災犠牲者の死因を個別に明らかにして記録に残すための調査を行っている。
「(調査に)協力してくれた遺族の方に何か返せないか」日ごろから調査会のメンバーが持っている気持ちがあった。昨年まで参加していた長田地区の慰霊祭が十四日に行われ、震災の日に「自分たちで何かできることはないか」と考えていたところに分灯式の話が舞い込んできた。
十六日午後二時に分灯された灯は、車で六甲台の慰霊碑に移動。慰霊碑の周りに、六本の竹筒と十個のキャンドルガラスが並べられその中のろうそくに灯がともった。十七日の午前五時四十六分には、震災で亡くなった神戸大関係者と同じ数、四十三本のろうそくに灯がともされ、十二人のメンバーと遺族が犠牲者の冥福を祈った。強風が吹く中、十人のメンバーが交代で付き添った灯は一度も消えることなく、約二十四時間、慰霊碑で光り続けた。
調査会では、九八年七月以来、約二百六十人の震災犠牲者の死を記録した。被災した時の状況を細かく調べるため、一人一人の遺族を訪ね、話を聞く方法をとっている。学生代表の薗頭紗織さん(自然科学研究科・一年)は、六年という時間について「震災に対する思いは人それぞれ。外に出る人もいれば、(六年たっても)話すこともできない人もいる」と話す。「亡くなられた方の『希望』を遺族が引き継いでいけたら」、この灯りは、亡くなった人の、遺族の、そして調査会の『希望の灯り』だった。「この日は震災のことを一日中考えていたいです。今の学生は無関心ですけど」一月十七日が特別であり続けること、何かをやり続けること、これが薗頭さんの希望である。
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