全国で「単位互換」ラッシュ 規模も拡大傾向

 兵庫県内の全ての四年制大学、計三十六校が単位互換の開始を検討しようとしていることが報道された。。また、五月八日には京都府下の四十二の大学と短大が、早大との間で単位互換の協定を結んだ。今春は全国で「単位互換」のラッシュ。十四のエリアで締結またはスタートした。より規模の大きなものが増えているのが特徴だ。【5月9日 UNN】

 全国の大学では、国公立・私立大混合の単位互換や、さらに包括的な「大学連合」の動きがさかんになってきている。特に二〇〇一年度は、そのラッシュになっている。そのタイプはさまざまだ。

 その背景には、少子化による学生数の減少と、二〇〇四年度以降に予定されている国立大の独立行政法人化で、地方の国立大学を取り巻く環境が厳しさを増していることがあげられている。
 各大学では、講座のメニューを広げ、学生の学力向上や定員確保につなげることを目標にしているほか、資格取得講座や企業とのインターンシップの共同実施、入試情報の発信などを手がけるネットワークなどの利点をあげている。

「エリア大同団結」型

 地域の国公立と私立が枠を超えて連携するタイプで、いわば「エリア大同団結」型。今回の兵庫県三十六大学の単位互換もこのタイプといえる。
 一九九八年にスタートした財団法人「大学コンソーシアム京都」がその先駆け。現在、府内の四十九大学・短大と京都市、京都商工会議所などが加盟。単位互換授業も、二〇〇〇年度は二百八十八科目・定員約七千人にのぼっている。また、これまで各大学の教室を会場にしていたが、昨年十月には拠点施設の「キャンパスプラザ京都」も下京区にオープン。来年度からはここでの開催が全体の半数になる予定だ。
 横浜でも、市内にキャンパスを持つ横国大、横市大、慶大、神奈川大など計十四大学が今年一月に「横浜市内大学間学術・教育交流協議会」(会長・山火正則神奈川大学長)を結び、今年度は準備が整った九大学が単位互換をスタート。将来は、資格取得講座や企業とのインターンシップの共同実施なども検討する。東洋英和女大では二〇〇二年度から、男子も含めた受講生を受け入れる方針だ。
 このほか、今年三月に奈良の九大学が「県大学連合」を発足。今年十月から西宮市の関西学院大や兵庫医科大、夙川学院短大などの私立の十大学・短大が単位互換をスタート。

「同学部、同タイプ」型

 大阪府内の十五の私立短大が今年度から単位互換制を導入。短大のみの連携は全国初。二〇〇二年度以降にはさらに十二短大が導入を検討している。
 今春、大教大、京教大、奈教大が開始、教員養成系同士では初。二〇〇二年度 愛媛大・香川大・高知大農学部の修士課程で単位互換がはじまる。

「単独協定」型

 阪大と大外大が今春から単位互換を開始。二年生以上の学生が対象で、阪大は共通教育科目のほか文、法、経済、理学部の専門科目など九十一科目を提供し、二〇〇二年度以降は人間科学、薬、工、基礎工の各学部も検討する。大外大は他大学には研究者の少ない言語の語学や地域文化など、三百十七ある全授業科目で阪大の学生を受け入れる。
 このほか、茨城大、宇都宮大、福島大(今春提携)や、大教大、京教大、奈教大の場合などを含め、「国立大の独立行政法人化」への対応の一つという見方もある。

「有力校提携」型

 二〇〇二年度からスタートする東医歯大、東京工業大、一橋大、東外大の「四大学連合」(東外大は学内の意見調整中。当初は三大学)は、共通の履修コースまで設ける初めての試みだ。途中で関連分野の他大学に編入することも可能で東工大に入学し、一橋大を卒業することも可能という。
 一方私大でも、早大、立教大、学習院大、学習院女大、日女大の五大学が今年度から単位互換制度「f-Campus」を始めた。合わせて千二十五科目を開放、交流学生証を作って図書館なども自由に利用できるようにする。ネット上で履修申し込みを行い、学生用の掲示板(BBS)の設置も検討しているという。
 国立「四大学連合」の場合は、総合大学化することによる独立行政法人化への対応が狙いとみられている。一方、私大の「五大学互換」は、新宿区、豊島区、文京区と都心近くに本部があり、この地域を「(日本の)カルチェ・ラタンにしたい」(奥島孝康・早稲田大総長)と話していることから、有力校のさらなるブランド強化も視野に入れているものと考えられている。

 五月八日に協定が結ばれた早大と京都府下の四十二の大学と短大の間で単位互換の場合、今年度は夏季と春季の集中科目が対象で、双方から約十人ずつを選考し、決められた科目の中から二~四単位を履修する。京都側は日本の文化や宗教などに関する「京都学」を中心に開放。
 京都ブランドと、「ワセダ」ブランドのタイアップだが、より規模の大きな単位互換の輪が増えている。

 《2000年以降の主な大学間の単位互換や提携》

  2000年4月 広島県立大、広島女子大、保健福祉大が単位互換

  2000年4月 大分大、大分医科大が単位互換

  2001年3月 中大と東外大の大学院。単位互換や共同講座の相互協定を締結

  2001年3月 大分大、大分医科大に県立看護科学大、県立芸術文化短期大も加わる

  2001年3月 奈良の9大学が「県大学連合」発足

          帝塚山大・天理大・奈良大・奈良産業大の私立四大学と、

          奈良女子大・奈良教育大、奈良先端科学技術大学院大の国立三大学、

          県立医科大・県立大(四月に県立商科大から改称)の公立二大学

          共同研究や公開講座の開催、入試情報の発信などを手がけるネットワーク

  2001年4月 岩手大、弘前大、秋田大 単位互換制度導入などに関する検討へ

  2001年4月 大阪府内15私立短大が単位互換制導入

          大阪青山、大阪キリスト教、大阪芸術、大阪城南女子、大阪学院、

          大阪女子学園、大阪信愛女学院、大阪成蹊女子、大阪千代田、関西鍼灸、

          堺女子、四条畷学園、樟蔭東女子、羽衣学園、平安女学院。

          短大のみの単位互換は全国初。2002年度以降にはさらに12短大が導入を検討。

  2001年4月 阪大と大阪外大、単位互換を協定

  2001年4月 神戸大、神戸松蔭女子大の文・大学院が教育交流

  2001年4月 大教大、京教大、奈教大が単位互換。教員養成系同士で初

  2001年4月 早大、立教大、学習院大、学習院女大、日女大の5大学が単位互換

          時間割やシラバスなどはネット上で情報提供。

  2001年4月 横浜の9大学が新年度から単位互換 将来14大学へ

          神奈川大、関東学大、国学院大、鶴見大、武蔵工大、

          横国大、横浜商大、横市大、東洋英和女大。

          将来は慶大、東工大、フェリス女大、明学大、桐蔭横浜大も加わった14大に。

  2001年4月 茨城大、宇都宮大、福島大が単位互換

  2001年4月 香川大、岡山大の法学部の単位互換

  2001年4月 長崎県内大学・短大の全14校で単位互換導入へ

          長崎大、県立長崎シーボルト大、長崎県立大、活水女大、活水女短大、玉木女短大、

          長崎ウエスレヤン短大、長崎外語短大、長崎国際大、長崎純心大、長崎純心短大部、

          長崎女短大、長崎総科大、長崎短大

          県内すべての大学、短大が参加するのは、全国でも初めて

  2001年4月 京都府下の42の大学と短大が、早大との間で単位互換

          まず今年度は夏季と春季の集中科目で

  2001年10月 西宮市の10大学が単位互換

           関学や兵医大、夙川学院短大などの私立の十大学・短大

  2002年4月 愛媛大、香川大、高知大農学部 修士課程単位互換へ

  2002年4月 「4大学連合」東医歯大、東京工業大、一橋大でスタートへ。

          東外大も早期参加を目指す

 

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