子供たちが普段接することのない動物と触れ合う「頑張れ!神戸っこ」が11月23日、神戸大の馬術部馬場で行われた。震災遺児とその関係者ら98人がつめかけ、一日中にぎやかな声が鳴り響いた。【11月23日 神戸大学NEWS NET=UNN】
この行事は1998年、神戸大馬術部が創部70周年記念行事の一環として、震災遺児を少しでも励まそうと、あしなが育英会と連携して実施したのが始まり。以来、毎年行われ、今年で4回目となる。第1回目から深く関わってきた壇浦コ-チは「98年当時、震災で親を失った子供たちにはまだ震災のショックが強く残っていた。取材のためにカメラを向けられるのを嫌がる子もいたので、そうした繊細な子どもに不安を与えないよう気を使った」と当時の状況を振り返る。?
乗馬体験に臨んだ子供たち。ヘルメットを身に着け、順番待ちしている間は、やや緊張している様子だったが、徐々になれ始めると、笑顔で周りにこたえていた。中には初めて間近にした大きな馬に泣き出す女の子もいたが、このイベントに何度も参加している「リピーター」も数多く来ていた。小学校5年生の大鳥居聡君は「今回で4回目なので全然怖くなかった。おもしろかった」と心から楽しんだ様子だった。
馬場内の一角には、「エデン牧場」というミニ牧場が設けられ、子供たちは山羊、ウサギ、モルモットなど普段触れる機会の少ない動物と触れ合った。
午後からは一般公募の家族が参加。兄弟で来た坂本諒太くん(8歳)と苑香ちゃん(6歳)は「もし落ちたらと思うと怖かったけど、おもしろかった」(諒太くん)、「また乗ってみたい」(苑香ちゃん)と笑顔で話した。
最近、馬とのふれあいや乗馬体験を通して心身のリラックスをはかる「ホースセラピー」が徐々に認知されつつある。監督の新垣恒則さん自身、重度心身障害者に馬に親しんでもらう催しを開いた経験をもつ。「あしなが育英会には震災で親を失った多くの子供達がいる。震災で傷ついた子供たちが普段見ることすらできない動物とじかに触れ合うことで、少しでも楽しんでもらえれば」とこのイベントに込めた思いを話した。
「馬は人を癒してくれる力を持っているような気がします」と話してくれたのは、今回の行事を先頭に立って取りしきった主務の森下愛さん。「今日は多くの笑顔を見ることができて良かった。できれば、来年以降もこのイベントを続けていきたい」と充実感をにじませた。
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