共同研究で細菌の薬剤耐性上昇を証明 神戸大も参加

 神戸大付属病院など近畿の13医療機関の共同研究で、肺炎などを起こす「肺炎球菌」の抗生物質への耐性が年々高まっていることが明らかになった。東京で1月25日から3日間、行われた日本臨床微生物学会で発表された。【2月1日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 今回の研究を共同で行った「近畿耐性菌研究会」は1997年に発足し、肺炎球菌だけでなく、他の一般的な菌についても研究を進めている。現在は神戸大、阪大、近大の各病院と、兵庫医大、関西医大、宝塚市民病院など13機関が参加しており、今後さらに増える予定。
 「肺炎球菌」は中耳炎や髄膜炎を起こし、肺炎の原因の3分の1を占めている。研究は3年間で患者753人のたんや鼻水から採取した肺炎球菌を培養し、一般的な抗生物質に対する耐性を調べた。全国でも、広い地域で経年的にデータを取ったのは初めてだという。
 その結果、1ミリリットル当たり0・12マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)以上の濃度のペニシリンに対して菌が生き残る率は、1999年で48パーセントだったのが、昨年は58パーセントと明らかに高まった。
 他の8つの一般的な抗生物質でも同様の分析を行い、うち4種でも耐性率が上昇した。また、複数の薬が効かない多剤耐性菌も確認されており、一般的な抗生物質では病気が治りにくくなっていることを示した。

 研究に参加している神戸大付属病院の中央検査部の木下承※(しょうひろ)副技師長は「状況は変わっているのに、現場では古い投薬の仕方を変えていない」と現状を指摘。実際に治療を受ける身にとっては、聞き逃せない研究結果になりそうだ。

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