【震災特集2】 「命の大切さ伝える」 希望の灯り守るNPO

 緊急特集「大学から震災の灯は消えたか」第2回。今回は、希望の灯りを管理するNPO「阪神淡路大震災1・17希望の灯り(HANDS)」の取り組みを取材する。希望の灯り破損事故から再度、モニュメントの存在の意味と、その周知の難しさを実感したHANDS。様々な活動から「いま生きている者のネットワーク」構築を目指す。【6月7日 UNN】

 「『希望の灯り』をどう伝えるか」。5月17日の神戸市役所24階協同と参画のプラットホーム。NPО、市役所職員、観光ボランティア、市民らが顔を突き合わせた議論に熱が入る。
 議題の中心は、5月3日に起こった1・17希望の灯りの破損事故。壊した大学生はじめ、灯りの存在が市民に十分に浸透していなかったことが関係者に衝撃を与えた。「今の希望の灯りの表示には『阪神淡路大震災』の文字がない。知らない人のためにも付けるべき」、「街の地図や道路標識も使って存在を示すべきだ」。市行政も巻き込んで、積極的な意見が飛び交った。
 「看板も大切だけど、大学生が勇気を持って名乗り出たことも(今回の事故で)大切だと思う」。大学生は事故後、謝罪の文章を同NPОに寄せて灯りの存在に対する想いを綴った。目に見える部分だけでなく、モニュメントの存在自体の意味も、今回の事故から見えてきた。

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 現在希望の灯りを管理しているNPО法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り(HANDS)」は、2002年7月に設立された。希望の灯りの管理・清掃をはじめ、阪神淡路大震災1・17のつどいや震災モニュメント交流ウォークを開催している。
 「生き残った人のネットワークを作りたかった」。HANDS代表の堀内正美さんは設立のきっかけをそう語る。「震災で亡くなった人を悼むのはもちろん。それに加えて、残されたものの傷をどうにかしないといけない」。
 今では震災の遺族だけでなく、明石の歩道橋事故、須磨の連続児童殺傷事件などの遺族にも声をかけ、仲間の輪を広げている。「語り合うことできる共有の広場」作りが基本理念だ。

 震災の体験が風化していく中で、「人のあたたかさ、やさしさを忘れないでほしい」と願って2000年1月17日に作られた「1・17希望の灯り」。震災の時に、神戸の人々を勇気づけた、全国の人々からもらったやさしさを灯りに託したもの。そして犠牲者の名前が刻まれている「めい想の空間」から出てきた人が、灯りのメッセージを見て悲しみの気持ちを和らげられればというメッセージが込められている。

 そんな「希望の灯り」が壊されたのだからショックは大きかったうえに、「あの日あの時を忘れないために希望の灯りを訪れたいので場所を教えてほしい」という問い合わせの多さに堀内さんは衝撃を受けた。しかし「あの空間は遺族だけのものだけでなく、みんなのものであるともっと伝えていかなければ」と意欲を燃やす。
 「語り継ぐということは次の世代に渡していくこと。ただ一方的に話すだけでなく、時間を共有し同じことを体験することで伝えていければ」と堀内さん。若い世代に対しては「命の大切さを考えてほしい。そうすれば何をやればいいか見えてくる」と期待を込めた。
※連載のバックナンバーはhttp://www.unn-news.com/sinsai/2003rensai/でご覧頂けます。

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