10月1日に神戸商船大(商船大)と統合した神戸大で10月4日、統合記念式典が行われた。会場となった六甲ホールには両大学の卒業生や関西圏の大学の学長ら約260人が出席した。【10月4日 神戸大学NEWS NET=UNN】
野上智行学長は式辞で「両大学が作り築き上げてきた伝統を生かして、『海に開かれた国際性豊かな総合大学』の実現を目指す」と統合後の目標を話した。
次に井戸敏三・兵庫県知事、宮本一三・文部科学副大臣らがあいさつ。1日で学長職を退いた原潔・前商船大学長は「(神戸大と商船大の)両方の個性を融合させて個性豊かな総合大学を築いてほしい」と話した。
式典に続いては神戸大学生協アカデミア館での祝賀会。祝賀会では商船大と交流協定を結んでいる韓国海洋大学校のパク・ヨンスプ総長があいさつした。韓国語で「両大学の統合は大学教育社会において大変意味深い。歴史に刻まれるだろう」と話した。祝賀会の最後は西田修身・海事科学部長の「海に開かれた総合大学の一翼として、さらなる飛躍を目指したい」との短くも力強いあいさつで締めくくられた。
―関係者の声―
●野上智行学長
(ついに統合の日を迎えました)
「ここまで来るには様々な山坂があった。心を割って議論した結果だと思う。1足す1を2にするのではなく、何倍にもしなくてはならない。これからのことを考えると、大きな責任を感じている」
(統合を行う中で一番苦労したことは)
「統合を機に『国際コミュニケーションセンター』など様々な機関を開設した。法人化のことも考えての作ったが、統合だけでなくそういう作業もしなければならなかったことが一番の苦労だった」
(これからは海事科学部の学生が神戸大の新しい仲間になります)
「(4日に来航した韓国海洋大学校の)ハンナラ号の歓迎に応援団が出てくれた。すでに学生の間で交流ができている。このことが本当にうれしい。若い学生のエネルギーに引っ張られて大学側が動いているという印象を受ける」
(学生にメッセージを)
「学部が違うと文化が違う。10学部にさらにもう1つ加わることになった。これらが調和すれば、神戸大の学生が持つポテンシャルが広がる。そのポテンシャルをポテンシャルのまま終わらせるのではなくて、発揮できるように大学側の制度を整えていこうと思っている」
●西田修身・海事科学部長
(ついに統合の日を迎えました)
「今までの両大学の苦労が実を結んだ結果。海事科学部としては、これから今までにない分野、そしてさらにハイレベルな研究、教育を行っていきたい」
(統合のメリットは)
「学生が一般教養科目をしっかりと学べること。これからは六甲台で学んでもらうことになる。商船大にも教養部はあったが、総合大学のそれと比べると、どうしても選択肢が少ない。六甲台でしっかりと一般教養を学んだ学生が深江で専門を学ぶことになるだろう。(北朝鮮の)マンギョンボン号の例をとっても、日本国内の法律や国際法を理解した上で、船の検査を行っている。これからは理工学系と社会科学系をミックスしたものを学ぶ必要がある」
(逆にデメリットは)
「どうしても深江と六甲台では距離がある。海事科学部では(一般教養の)再履修を認める予定なので、1年生で単位を取れなかった科目を深江で学ぶ3年生以上で履修することになったときが心配だ」
(学生へのメッセージを)
「ヨット部など深江で部活動を行うクラブもあると思う。六甲台の学生もこっちの授業も受けることができるようにする。交通の便も何とかするので、深江にぜひ来てほしい」
●原潔・前商船大学長
(統合について実際に動かれていたのは原学長だと聞いています。今のお気持ちを)
「正直なところ、素直にうれしいというのが今の気持ち。私はこれで引退。これからは統合の理念でもある『海に開かれた大学』を全学上げて達成できるかを10年くらいのスパンで見ていきたい」
(理念を達成するためには)
「ポイントは3つあると思う。1つは『海に関する研究・教育の拠点をしっかりと作っていくこと』。次に『海を通して水が循環するように神戸大発の智恵を国際的に循環させていくこと』。3つめは『神戸は歴史的に海に開かれた町。地域のために役立つ大学づくりを行うこと』だ」
(統合で一番苦労したことは)
「私には何が何でも達成するぞという志があった。志があると苦労がやりがいになると思う。だから、志を達成した今は苦労をしたという意識がない」
(学生にメッセージを)
「伝統が違う学校が一緒になるのだから、当然カルチャーが違う。でも、志を1つにすれば大丈夫。むしろ、新しいカルチャー新しい血を入れることは大事なこと。昨今、個性的な大学になれということが言われているが、学長がいくら言ってもどうにもならない。学生が自分なりの意識を持つことが重要だと思う」
(これで引退になるということですが)
「10月1日で学長職を退いた。もう定年を越えているので、自由の身だ。一仕事終わらせたという感じ。統合の成果は10年位たたないと出てこないと思う。これからはのんびりと大学の行く末を見ていくつもり」
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