神戸大の松尾雅文教授(生育医学)らは10月28日、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの男児(10)に対し、合成DNAを利用した世界初の治療を、29日に実施すると発表した。【10月28日 UNN】
筋ジストロフィーは、筋肉が委縮し、筋力を失っていく進行性の病気。デュシェンヌ型は筋肉を動かすタンパク質を作るよう指令する遺伝子の異常が原因で、男児3500人に1人の割合で発症する。この病気の患者は4、5歳で発病。12歳前後で自足歩行ができなくなり、20歳前後で死亡することが多い。現在、同型の筋ジストロフィーには有効な治療法がなく、リハビリで進行を遅らせるしか方法がないという。今回の治療法の効果が実証されれば、多くの患者の症状緩和につながる。
治療は特定の配列を持った合成DNAを患者に投与し、異常遺伝子が発する情報伝達を調整。筋肉を動かすタンパク質を作らせ、進行を遅らせる。合成DNAの準備ができたため、治療に入ることになった。男児から採取した筋肉細胞を使い、治療効果は実証済みという。
男児は小学校に通学しているが、何かにつかまってやっと歩ける状態。29日以降、合成DNAを1週間ごとに計4回投与し、その後タンパク質が作られているかを確認する。 進行を食い止めるには、生涯の継続的な合成DNA投与が必要。今回の投与で効果が確認できれば、治療を続けるための手続きに入るという。
この治療は2000年3月、神戸大医学部の倫理委員会が承認。同年10月、いったんこの男児への治療の実施が決まったが、合成DNAに異物が混入していた可能性があったため、延期されていた。
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