神戸大大学院医学系研究科と京大ウイルス研究所が11月13日までに、関節リウマチ(RA)の病状進行に「活性酸素」が関わっていることを共同研究で明らかにした。【11月13日 UNN】
RAは手足の指やひじ、ひざなどの関節が炎症を起こし、軟骨や骨の細胞が壊れて関節が変形する病気。原因不明とされ、国内には約70万人の患者がいるとされる。治療にはステロイド剤を長期的に使用する場合が多いが、免疫が抑制される副作用があるため、感染症で死亡するケースもある。
活性酸素はがんや動脈硬化などの危険因子として知られている。以前からRAの症状進行に関与が指摘されていたが、すぐに周囲の物質と反応して性質が変わってしまうため、測定が難しかった。そこで、神戸大大学院免疫学分野の熊谷俊一教授らは、活性酸素から生体を守る働きがあるタンパク質「チオレドキシン」に着目。チオレドキシンは関節の炎症で活性酸素が発生すると生成されることから、RAの患者と、ほとんど炎症がない別の病気の患者の関節液のチオレドキシン濃度を比較した。
その結果、重症の患者(20人)は一ミリリットルに平均350ナノグラム(1ナノは10億分の1)で、炎症のほとんどない患者(16人)は70ナノグラムのチオレドキシンを検出。活性酸素に反応するタンパク質が、症状の悪化とともに増加することを確認した。別の患者20人について血液を調べた研究でも、同様の増加することが判明。チオレドキシンが関節表面の滑膜細胞で作られることも分かった。
また、ネズミを使った実験では、チオレドキシンに炎症抑制効果も見られ、副作用のない治療薬開発も期待できるという。
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