目線下げた援助訴え 緒方貞子さん講演会

 「グローバリゼーションと人間の安全保障」をテーマに、国際協力機構(JICA)理事長の緒方貞子さんらを招いた特別講演会が11月19日、神大会館六甲ホールで行われた。国際文化学部創立10周年記念事業の一環で、学内外から500人以上が訪れた。【11月19日 神戸大学NEWS NET=UNN】

Photo 緒方さんは1991年から2000年まで、国連難民高等弁務官として難民支援などの活動に取り組んできた。人道援助などの国際活動の功績は高く評価されており、今年11月には文化勲章を受章。今回の講演は、国際文化学部の学生らが企画して緒方さんに依頼し、1年半がかりで実現させた。
 第一部の講演で、緒方さんは自身の難民援助活動を振り返りながら、安全保障問題に言及。「注目すべきなのは、現実に困っているピープル(人々)」との考えを基本理念に、戦時下での難民保護では「外からの侵入を防ぐだけの国家はアテにならない痛感した」と歯切れ良い。また、アメリカの同時多発テロ後の世界情勢にも触れ、危機管理的な安全保障には限度があると指摘。「目線を(住民レベルに)下げて、プロテクション(保護)とエンパワメント(能力の強化)という、上と下からの援助が必要だ」と主張した。
 続く第二部で研究者を交えたパネルディスカッションを行った後は、第三部で講演会を企画・準備した学生委員らが、緒方さんと壇上で対話した。学生たちはODA(政府開発援助)などについて、勉強の成果を提言。ほかにも、緒方さんの学生時代の思い出まで様々な話題を投げかけると、緒方さんは笑顔を交えて受け答え。「好きな言葉は」と問われて、「たくさんありすぎて。わたし座右の銘とか信条とかなしに暮らしてきたんです」と会場の笑いを誘った。
 講演会を終え、学生委員代表の堀賢史さん(国文・3年)は「講演会の実現は、今日実際に緒方さんに会うまで信じられなかった。無事終えてほっとしたけど、これからにつなげなきゃね」とひとまずは安堵の表情。教官と一緒に東京から来たという矢部久貴さん(東大・3年)は、「本とかだと解釈のズレが発生するけど、講演を聞いて緒方さんの考えのイメージがつかめた」と話した。



《お詫びと訂正》緒方さんの職務について、記事中で「国連難民高等弁護官」としておりましたが、正しくは「国連難民高等弁務官」の誤りでした。お詫びして訂正します。

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