第9回発達科学国際シンポジウムが12月17日、発達科学部キャンパスで行われた。今回は「人間発達の可能性:ヒト、人間、社会」をテーマに様々な分野の研究者が講演や分科会で議論を投げ掛け、学内外から約500人が参加した。【12月17日 神戸大学NEWS NET=UNN】
発達科学部シンポジウムは同学部の研究成果などを学内外を問わずに共有する目的で、1996年以降不定期に開催されてきた。今回は特に、同学部の理念でもある分野横断的な学問の追求を目指し、人文、社会、自然科学から芸術まで、様々な学問領域の研究者がそれぞれの分野での「人間発達」を検討しあった。
シンポジウムは、チンパンジー研究でメディアでも有名な京大大学院の西田利貞教授の基調講演と、海外の研究者を招いた特別講演会、自然科学から芸術までそれぞれの分野に分かれた8つの分科会と3部構成で行われた。ロンドン大のデビッド・ゴフ教授による特別講演会では、「児童虐待」をテーマにイングランドの児童保護政策の事情などを紹介。実態が見えにくい問題だけに、制度の評価研究の重要性を強調した。
午後3時から各教室に分かれて開かれた分科会では、8つのテーマごとに研究者らが各分野における「人間発達」の意味を報告。大学外の研究者やNPO団体関係者らが交じる会も見られた。スポーツ界でも注目の「なんば」という身体の動きを扱った分科会では、京大大学院の小田伸午教授が、同じ側の手足が同時に出る歩き方と定義するなんばを間違いだと指摘。体を捻らず、右足を出す時に左腰が前に出る「正しい」なんばを講師が実演すると、参加者もつられて体を動かしていた。
「それぞれの研究分野で、どう『人間発達』を語るかが今回のテーマ。報告者も多かったので、テーマをずらさないように注意した」と、実行委員長の太田和宏・発達科学部教授。用意したパンフレットも早々に品切れになるほどの反響に、「大成功だね」と顔をほころばせた。「違う分野で共通の問題意識を持って、NPOなど実践との連携を強めていきたい」と今後の取り組みにも意欲的だ。
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