フォラーム「マスメディアの現状と新聞業界の今後」が、7月8日開催された。渡辺武達同志社大教授は「伝え手と読み手の間のかい離」と指摘。日本工業新聞社の熊沢隆光社長は「特ダネや調査報道など新聞でしかできないものもある」と主張。新聞の今後について関西の学生や市民約150人が考えた。【7月8日 UNN】
このフォーラム「マスメディアの現状と新聞業界の今後~メディアと情報は誰のものか~」は「報道関係者と学生の間で対話をする場を持ちたい」との意図から企画されたもの。神戸大ニュースネット委員会など11大学新聞が加盟するUNN関西学生報道連盟とフジサンケイビジネスアイが主催して、同志社今出川キャンパスの寒梅館ハーディホールで開催された。参加者は学生や一般市民約150人。
講演会では日本工業新聞社社長の熊沢隆光さんが、若者の活字離れや新聞衰退については「特ダネや調査報道など新聞でしかできないものもある」と反論。しかし「もっと読者のニーズ考えたものにしないと読者はもっと離れていってしまう」と自己批判した。参加者へは「新聞には各社それぞれの特徴がある。いくつかの新聞を読み比べて、(情報に対して)読者の方でバランスの取れた判断をしてほしい」と呼びかけた。
講演会後にはパネルディスカッションが開かれた。渡辺武達教授(同志社大文学部社会学科)のコーディネートのもと、学生代表としてフジサンケイビジネスアイ編集局長の平田篤州さんをはじめ、NPO法人きゅうたなべ倶楽部代表・杉岡秀紀さん(同志社・M1)、「やさしいがんの教科書」の著者、駒沢伸秦さん(阪大・医・5年)がパネラーを務めた。
渡辺教授は冒頭で「ゼミでアンケート調査したところ、下宿をしている学生の9割近くが新聞を購読していなかった」と若者の活字離れの現状を報告。その理由を「伝え手と読み手の間のかい離」と分析し、パネラー陣に議論を投げかけた。これに対し、杉岡さんは「身近な話題を掘り下げるような記事や読者とメディアの双方が取り組める企画を立ててほしい」と、新聞業界の今後に期待を寄せた。
フォーラム終了後、フジサンケイビジネスアイの平田編集局長は「次代を担う学生に読まれるのはうれしいこと。学生の視点で物事を伝えていきたい」と意気込みを話した。
参加した学生(京女・3年)は「(話をきいて)新聞でしか得られない情報もあるんだってわかったので今度から読もうと思う」と話した。
このフォーラムはもともと、6月21日に開催する予定だったものの、台風6号の影響により7月8日に延期されていた。
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