故西塚泰美前神戸大学長を偲ぶ会が12月19日、ポートピアホテルで行われ、約800人が弔問に訪れた。来賓による弔辞や献花が行われた。【12月19日 神戸大NEWS NET=UNN】
黙祷の後、野上智行神戸大学長が「先生が愛され、ここまで育ててこられた神戸大を、世界に誇る学術教育の拠点として発展させていくことを誓います」と告別の辞を述べた。
西塚前学長は、11月3日学会で昼食をとりながら歓談していた時に、くも膜下出血で突然意識を失った。翌4日、午前1時28分、後輩の医師らの懸命な治療のかいもなく、神戸市中央区の兵庫県立災害医療センターで亡くなった。72歳だった。
続いて、山村博平神戸大医学系研究科教授が、西塚前学長の業績を映像を交えて解説。青年時代の研究室での西塚前学長のモノクロ写真も写し出された。
前学長は、生化学の分野で多大な業績を残した。細胞の情報伝達に欠かせない「タンパク質リン酸化酵素(プロティンキナーゼC)」を牛の脳から発見した研究が高く評価され、1986年に日本学士院賞などを受賞。88年に文化勲章を受章した。以降、研究者からの論文の引用件数が、世界でもトップクラスに。最近は、毎年のように、ノーベル賞の候補者として名前があがっていた。
神戸市長、日本生化学会会長が弔辞を述べた後、友人代表の田中千賀子神戸大名誉教授は、西塚前学長が夫人の手作り弁当を毎日食べていたことや、娘のことをうれしそうに語っていた、というエピソードを披露。
門下生代表の高井義美阪大大学院医学系研究科教授は、「よく考えて、よく実験していれば必ず結果が出る」と激励されたことを紹介し、「先生の教えを次世代に伝えることをここに誓います」と語った。
友人代表として本間守男神戸大名誉教授が、西塚前学長から亡くなる3日ほど前に電話があり、ヘラブナ釣りの打ち合わせをしたことなどを声を震わせながら語り、故人を偲んだ。
夫人の西塚祥子さんは「皆様のお力添えで、夫は幸せな人生を過ごすことができました。ありがとうございました」と挨拶。最後に献花が行われた。
会場には、同僚、後輩の医学者らのほか、大学関係者、医療関係者ら約800人が参列。満開の桜の前でほほ笑む遺影に白い菊を手向けた。京大大学院時代に指導を受けたという上田国寛京大名誉教授は「実験も人間関係も細やかな人。非常に鋭く、ポイントをおさえていた」と西塚前学長の人柄を語った。
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【写真中上】満開の桜の前でほほ笑む、西塚前学長の遺影。?
【写真中下】野上智行神戸大学長が告別の辞を述べた。?
【写真下】参列者は白い花を手向けた。(いずれも12月19日午後 ポートピアホテルで 撮影=椿 一臣)
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