神戸大六甲台キャンパスでは、慰霊祭後に懇親会が開かれた。懇談会では、4人の遺族が子どもとの思い出や子どもへの思いを挨拶で話した。その後、現役の学生からの突然の折り鶴のプレゼントに、遺族は「子どもの写真の前に飾ります」と涙を流した。【1月17日 神戸大学NEWS NET=UNN】
故・高見秀樹さん(当時経済・3年)の父、高見俊雄さん=写真右=は震災当時、秀樹さんに恥じないように、という思いで頑張り、定年を迎え第2の人生を歩んでいる今も社会に貢献する活動をしている、と挨拶した。
故・工藤純さん(当時法・院1年)の母、延子さん=写真左=は挨拶で、「子どもたちはみんな頑張っていて、この10年もみんないろいろだったと思います。でも、子どもはたくさんある選択肢の中から神戸大を選んで神戸大に誇りを持っていました。私たちは神戸大生の親として誇りを持っていました。これを傷つけてはいけないと思います」と挨拶した。
故・神徳史朗さん(当時工・3年)の父、逸郎さん=写真右=は、震災当時友達が史朗さんを見つけてくれた時のことを話した後、「史朗の友達は、今でも3年おきに自宅のある長崎まできてくれます。今日も史朗の遺稿が神戸のアートビレッジセンターで上演されるんですよ。本当に良い友達をもちました」と話した。そして、長崎の原爆投下が風化されてしまったという例を出して「(阪神淡路大震災を)風化させないで下さい。今日はこれを伝えるためにこの場に立ちました」と強い思いを話した。
故・今英人さん(当時自然化学研究科博士前期課程・1年)の父・英男さん=写真左=は、「この10年が短かったのはみんな同じ気持ちだと思う」と10年の思いを話した後、「若い人には、社会のために生きてほしい」と挨拶した。
遺族のスピーチの後、的場尚歩さん(経営・3年=写真右)を代表する現役の学生から遺族の方へ、亡くなった学生の名前を刻んだ44束の折り鶴を贈呈した。プログラムにはなかったが的場さんが慰霊碑の捧げた折り鶴を見たある遺族の方が、「ぜひみんなに配りたい」と提案。大学側に掛け合った結果、急遽懇親会の挨拶の最後で遺族への贈呈式が実現した。 的場さんが「厚かましいかも知れませんが、神戸大の現役の学生からの遺族の方へこれを…」と挨拶を始めると、会場では啜り泣きが聞こえ、これまで気丈に挨拶文を読み上げていた野上学長も眼鏡を外し、目をハンカチで押さえた。
折り鶴は的場さんの親しい友人数名で「10年の区切り」になればとの思いで作り上げた。これは的場さんが昨年春から白木利周さん(故・白木健介さんの父)との交流の中で「17日に折り鶴を飾りたいなあ」とぽつりと白木さんが話したことから思い付いたという。折り鶴を受け取った白木さんは「遺族はこういう気持ちが一番うれしいんだよ」と話した。
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