神戸大の責務果たす 学長が慰霊のことば

Photo 阪神・淡路大震災10周年慰霊祭が1月17日、午前11時45分頃から神戸大六甲台慰霊碑前で行なわれた。会場には、昨年よりも多くの遺族や大学関係者らが訪れ、黙祷や献花が行なわれた。野上学長が「神戸大としての責務を果たす」と述べた挨拶では、涙を流す人も見られた。【1月17日 神戸大学NEWS NET=UNN】

 学長は式典を終えて、「10年目を迎えて改めて神戸大としての責務を強く感じました。先輩達の句らしさをキャッチアップし、彼らの分も新しい時代を開けるように。そのために良い大学を作ろう」と感想を話した。

 10年目を迎える今年の1月17日は、例年よりも多くの人たちが慰霊碑を訪れた。

故・神徳史朗さん(当時工・3年)の同級生・湯本圭輔さん(33)
 午前9時頃、慰霊碑を訪れ「午後からの(神徳さんのシナリオ)演劇をみにきました」「キャンパスが移り変わるのをみると特に10年を感じますね」とコメントした。(記者=吉永智哉)

故・廣瀬由香さん(当時法・4年、24才)の母・政子さん?
 毎年、慰霊碑、芦屋の自宅があった場所、東遊園地の順に回っていたが、今年は慰霊祭に合わせて最後に、花束を持って慰霊碑を訪れた。
 10年経ったが「あっという間、実感はない。1年目も10年目も気持ちは同じ。信じられないというのがまだある。でも、流れの中で生きていくしかないという気持ちも生まれた。元気を出して明るく生きていくしかないと思っている」
 「私は皆と話すことで、自分を取り戻そうとしてきた。だれかが語り継がないと(娘の死が)無駄になる」という思いから積極的に他の遺族の方とも話をする。
 「自分が動ける間はここに足を運びたい。いずれは孫も一緒に」(記者=椿一臣)

故・長尾信二さん(当時工・2年、20才)の親戚・釜野文男さん、多美子さん?
 文男さんは震災当時、信二さんの遺体を地元の高松まで連れて返った。高松から神戸まで車で約20時間かかったという。「ニュースなどでは震災から10年ということが多く言われるが、昨日のことのように思える。10年経ったが、10年経っていない」と話す。
 「信ちゃんの名前はもう神戸大の慰霊碑にしか残っていない。これが信ちゃんが生きていた証のように思える」と多美子さんは慰霊碑への強い思いを話した。(記者=武井礼美)

故・藤原信宏さん(当時経営・4年、22才)の母・美佐子さん?
 朝は東遊園地を訪れられてから慰霊祭に参加したという。「1年に一度しか会わないけど、遺族の方々のつながりがあるのがうれしい」。10年を迎えて「彼らの思いを遺族とかこうやって会う学生さんとかみんなで分かち合えるのが幸い」。「公認会計士目指して勉強ばっかしていた息子だった」「それが無念で無念で。もうちょっと遊んでくれたらよかったのかねえ」(記者=吉永智哉)

故・稲井健太郎さん(当時医・4年、22才)が主将を務めた医学部合気道部の後輩の女性2人?
 稲井さんが4年の時1年だった。赤ちゃんをベビーカーで連れた女性は、「いい先輩で可愛がって下さったし」と10年目の今年、初めて1月17日慰霊碑を訪れた。「今でも生きてはる気がする。10年あっという間だった」と話す。キャンパスで場所を聞いても「わかりません」との答えが多く「さみしいねえ」と話していた。しかし、多数の花束の供えられた慰霊碑を見て、「来て良かったね。来年も来ようね」と2人で約束していた。(記者=吉永智哉)

Photo故・白木健介さん(当時経済夜間・2年、21才)の父・利周さん?
 神戸大慰霊碑前での震災語り継ぎ調査会による竹灯籠灯しが今年も行なわれたと聞いて「学生の方が忘れず覚えてくれているというのはうれしい」と話した。(記者=吉永智哉)

故・林宏典さん(当時=経済・2年、21才)の友人・瀧口一宗さん(経営・1997年卒)?
 林さんとは大学生協でのバイト仲間だった。例年は夜中に大学慰霊碑を訪れるが、「今年は仕事を休んで昼間に来ました。会いたい人がいたので」。
 瀧口さんが再会を果たしたのは林さんの両親。10年前の震災後、瀧口さんは初めて林さんの実家を訪ね、バイト仲間たちとともに笑顔で写った宏典さんの写真を両親に渡した。「あの時は僕の方が動揺しちゃってて。ご両親は逆に励ましてくださいました」。今日、10年ぶりの挨拶を交わした。
 「大学の風景も変わったし、それだけの時間が経ったのですね。でも、今の学生にもずっと忘れないでほしいな」。帰り際、乾杯用の缶ビールを慰霊碑にささげた。(記者=岩崎昂志)

当時入試課の職員だったという男性(60)
 午前8時半頃、慰霊碑を訪れ「10年ぶりに訪れました。自分にとって節目の年ですし、次の10年わかりませんから。とりあえず、10年間生きましたって感じですかね」と感想を述べた。(記者=吉永智哉)

現役の学生らも…?
 神戸育ちという男子1年生。慰霊碑の前で堅く手をあわせ、「地元やし、絶対に忘れたらあかんと思ってきました」と話してくれた。
 東北生まれという男子1年生。「全然神戸と関係ないけれど、10年の区切りに訪れたかった」。

 大学の講義が終わる時間帯、慰霊碑の前に立ち寄って手を合わせる学生がいた。「(慰霊碑を)普段は意識しないけど、今日は特別なので」。
 95年の震災当時は埼玉県の小学生。神戸の大学生となり、この日は夕方から三宮で開かれる震災追悼イベントのボランティアをしに行くところだという。「10年前は何もしなかったので。神戸に来たら震災のこと、何かしたいと思っていた」。

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