授業料値上げの事情 学務課が取材に応じる

 平成17年度授業料の改定について、学務部学務課がこのほどニュースネットの取材に応じ「値上げしなければ、現在進めている学生面の整備を充実させることに支障をきたしてしまう」と説明した。国から交付される運営費は、授業料を標準額に設定したとみなして算出されることから、授業料を据え置いたり値下げしたりした場合は、不足した分を自力で穴埋めする必要がある、という背景がある。【4月10日 神戸大NEWS NET=UNN】

Photo 神戸大学の授業料改定の案内は、まず神戸大ホームページの「お知らせ」の欄に1月20日にアップされた。2月1日から4日の間に各学部の掲示により告知。また3月3日には野上智行神戸大学長からの説明をホームページと各学部の掲示の両方に発表していた。
 国際文化学部以外の10学部で、大教センターの1年生(新2年生)むけの掲示板にこの値上げ通知を掲示し忘れていたため、3月23日付で郵送で通知するという事態になった。大教センターには、3月31日付けで掲示された。


●あわてて決まった授業料値上げ

 新年度授業料は学部(昼間主)と大学院の研究科では現行 52万800円から53万5800円と1万5000円の値上げ。学部(夜間主)は26万400円から26万7900円に7500円値上げと発表された。
 「とにかく1月24日から出願が始まる受験生に伝えられるように急ぎました」と学務課の清水課長はいう。
 これまで国立大学の授業料は、文科省が1年おきで授業料の値上げを決めていた。標準額が提示され、あとは各大学で自由に決める、というのは独立行政法人化されたための事態で、昨年度から始まった。平成16年度は標準額に変化はなかった。12月終わりに文科省が17年度の授業料の標準額を発表したが、「1万5000円の値上げ」とあった。入試も迫っていたので、各大学は急ぎ平成17年度授業料を決定する必要があった。「あわてました。どのようになるのか見えなかった」と清水課長。


●なぜ、いま値上げなのか?

 なぜ、いま値上げなのか?
 「(文科省の意図は)私学との格差をなくすことでしょう」と説明。神戸大学の考えではない、と強く否定した。
 私立は、同志社大で67万2000(文系学部)?98万8000(工学部)、立命館大で65万円(法・経済・経営・産業社会学部産業社会学科 )?97万5000円(理工学部)となっている。?

 文科省のまとめでは、国立大学・短大89校のうち、8校が標準額を下回る授業料とした。全国一律だった国立大の授業料で4月以降、初めて横並びが崩れ、格差が生じることになった。
 佐賀大は唯一、大学、大学院とも据え置きを決めた。北見工業大、千葉大、東大、三重大の4校は大学院博士課程の値上げを、北海道教育大は大学院修士課程の値上げをそれぞれ見送った。小樽商科大は前期は据え置き、後期分の7500円だけ値上げする。愛媛大は値上げ幅を9600円に抑えた。


●据え置けば地力で穴埋め
 
 ではなぜ1万5,000円なのかに関しては水谷課長補佐が説明した。
 「独法化に伴い、国が毎年授業料の標準額を設定します。この標準額に基づく授業料収入を見込んだ上で各大学に運営費の交付金が配布されます。17年度は標準額が1万5,000円アップしたので、神戸大も授業料を値上げしなければ、現在進めている学生面の整備を充実させることに支障をきたしてしまう」。
 説明は、ホームページにアップされている野上学長の説明を踏襲した形だった。
 国から国立大に交付される運営費交付金は、授業料を標準額に設定したとみなして算出されることから、授業料を据え置いたり値下げしたりした場合は、不足した分を自力で穴埋めする必要がある、という背景がある。
 野上学長は、3月3日付のホームページ上で、「運営費交付金が一定のルールに基づき減額されることになっている」とも説明している。


●野上学長の説明する「環境整備・経費節減」とは?
 
 さらに、野上学長は、「経費節減、財源確保などにより財政基盤の確立を図りながら、(中略)学生サービスの向上に努める」としている。
 環境整備とは、具体的にどんな整備が行われるのか?
 学務課によると、平成18年度から予定されている全学共通科目のカリキュラム全面改訂を控え、それまでに教室などの整備を行うという。改定により多くの教室が必要になるためだという。
 既存の教室の整備を行う予定で、新たに教室を創設する計画はない。
 
 また、大学全体の経費の見直しが行われるとも説明した。具体的な節減計画はまだ出されておらず、これからつめていくところので、はっきりと結論が出るまで教えることはできないという。
 2月上旬には、非常勤講師の退任の説明会が行われたが、「非常勤講師の退任は経費節減とは関係ない」と清水課長は断言した。

 報道によると、北大では旅費清算を外注化することで旅費全体の約2割の削減を行う。高知大では退職職員が無償で授業や公開講座を受け持つ制度を創設する。各大学とも、経費節減も知恵の絞りどころだ。


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