震災で犠牲になった当時神戸大院生の名を冠した「競基弘賞」の第1回授賞式が行われ、東工大の塚越秀行助教授と国際レスキューシステム研究機構の城間直司研究員に記念の盾などが贈られた。【1月18日 神戸大NEWS NET=UNN】
授賞式は神戸市中央区の「人と防災未来センター」で行われた。この賞は優秀なレスキューロボットやシステムの40歳未満の若手の研究者を表彰し、研究開発を奨励することを目的としたもので、NPO法人国際レスキューシステム研究機構が主催。
阪神大震災で神戸市灘区六甲町の下宿が倒壊して亡くなった、神戸大自然科学研究科博士課程の競基弘(きそい もとひろ)さん(当時23歳)の名が冠せられている。競さんはロボット開発が専攻で、「将来はドラえもんのように、人を癒やすことのできるロボットをつくりたい」と、当時指導教官だった松野文俊電通大教授(48)に語っていたという。
第1回にあたる今回は、「競基弘学術業績賞」に、がれきを乗り越える力を向上させる「跳躍・回転移動体」の開発にとりくんだ、東工大の塚越秀行助教授(36)が。「同技術業績賞」に、ロボット搭載カメラの映像を俯瞰的にとらえるシステムを開発した、国際レスキューシステム研究機構の城間直司研究員(34)がそれぞれ選ばれた。
選考委員長の田所諭東北大教授は、「競君は、亡くなったときロボコンのトレーナー姿だったと聞いている。当時、レスキューロボットの研究者はほとんどいなかった。それでは10年たっても100年たっても鉄腕アトムはできないと、各分野で研究をたちあげた。あのような災害がおきても、人の命が失われることのないようにしたい」と開会のメッセージを述べた。
あいさつに立った同委員の北村新三神戸大副学長は、「11年前、私たちの大学は優秀な学生を多く亡くしました。競くんの遺志をいかして、全国の研究者を表彰することができるのは非常な喜びです」と語った。
また、同会の名誉委員長をつとめる、基弘さんの父・和巳さん(64)=名古屋市天白区=は、「震災では救えた命があったはず。研究は揺らん期にあるけれど、少しでも役にたてばと願っています。基弘も心から感謝していると思う。震災が忘れられないために、いつまでも続くことを祈っています」と結んだ。
このあと、表彰式、受賞者の講演が行われ、関係者らは、レスキューシステム研究の発展を誓っていた。
【写真中】選考委員会の名誉委員長の競基弘さんの父・和巳さん。
【写真下】会場には、全国のレスキューロボット研究者や、基弘さんの大学の同級生らが集まった。(いずれも1月18日・神戸市中央区の「人と防災未来センター」で 撮影=須田鉱太郎)
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