神戸大ブランドの新たな製品として、純米大吟醸酒「神戸の香」の発表会が3月3日に百年記念館で行われた。神戸大ブランドとしてこれまで神戸大ビーフをはじめ、じゃがいもや梨などの製品が販売されたが、今回は牛肉とならぶ神戸の特産品である日本酒。神戸大の研究成果を地域社会に還元し、協力を深めていく産学官民連携のひとつとして、神戸の町全体のさらなるPRとなることが期待される。【3月3日 神戸大NEWS NET=UNN】
これまで、昨年5月に発売された神戸大ビーフをはじめとしてじゃがいもや梨などの神戸大ブランド製品が販売されたが、今回は「ビーフ以外にも、作物もある」ということから、牛肉にならぶ神戸のもう一つの特産品である日本酒が発表された。
「社会貢献を強く意識している。町全体のアピールになれば」と北村新三副学長が話すように、産学官民連携の新たな成果として期待が寄せられる。
酒米には、最新の酒造専用品種である『杜氏の夢(とじのゆめ)』を使用。産学官民の“産”である兵庫県農林水産技術総合センターと“学”である神戸大農学部が平成5~8年にかけて「スーパー酒米プロジェクト」と称して共同で育種した。「山田錦をこえるようなものをつくる」ことを目標に研究を重ね、冷害に強く、高度な精米ができるように、従来より心白が小さい酒米となった。平成16年に“官”である兵庫県に品種登録された。
醸造に携わったのは“民”である加西市の富久錦。「地元」にこだわる富久錦は「全国ブランド化し、種を持ち帰って各地域で栽培され、質のばらつきがでている」(稲岡社長)という山田錦と違い、加西市の神戸大農学部附属食資源教育研究センターで栽培された『杜氏の夢』を加西市の水をつかって醸造した「地域の味」を強調する。酵母もオーソドックスなものを使い、すっきりとしたフルーティーな味と自然な香りによって神戸らしく、上品に仕上がっている。稲岡社長は「口に含む前の香りはすがすがしく清涼感があり、含んだ後は甘いくだものを思わせるようなやわらかい香り」と説明した。
名前の公募には314件の応募があり、優秀賞として8作が選ばれた。残念ながら採用作はなく、この8件を参考にして「神戸の香」と命名された。企画・広報担当の鈴木正幸理事は「いずれは(神戸)空港にもおきたい。東京などへ神戸の香りを運んでもらいたい」と話した。
ラベルは、画家・岸本吉弘氏(発達科学部助教授)が絵、書家・魚住卿山氏(国際文化学部教授)が題字を担当し「総合大学ならでは」(鈴木理事)のコラボレーションで完成した。抽象画を専門とする岸本助教授は「神戸の風景を描くことは新しい挑戦だった」、魚住教授は「繊細でかろやかな都会的な絵」に合わせて「(自身の作品は)角ばった作品が多いが、それを取り払ってお酒のための字を書いた」という。お酒同様、神戸らしい気品が表現されたラベルに、新たな領域に挑戦した二方とも満足気な様子をみせた。
発売は3月8日から、大丸神戸店、小綱中本店(灘区高徳町)、富久錦(加西市)の3ヶ所で販売される。値段は3000円で、初年度である今年は720ミリリットル瓶1500本のみ。
●「神戸の香」販売場所
富久錦 兵庫県加西市三口町1048 TEL:0790-48-2111
大丸神戸店 神戸市中央区明石町40 TEL:078-331-8121
小綱中本店 神戸市灘区高徳町3-5-1 TEL:078-851-3510
【写真下】岸本画家と魚住書家によるラベル。神戸の気品あるイメージが漂う。(3月3日・百年記念館で 撮影=武井礼美)
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