工学部機械工学科の大前信夫教授研究グループが、自身の研究結果の特許出願に際し、未実施の実験データを実施したものとして書類に掲載していたことが4月27日、わかった。大学は特許出願を取り下げており、同日緊急記者会見を開いた。【4月27日 神戸大NEWS NET=UNN】
同教授の研究グループが行った実験は、ダイヤモンドにビームを当て、表面のみを異なる化合物に変化させるというもの。これにより、鉄を切削する際に、ダイヤモンドの磨耗を抑えることができる。
今回問題となったのは、同教授が2004年に特許の優先権を主張した際、出願書類に記載した8つの実験データのうち5つを、実際には実施せずに掲載していた点だ。
記者会見には鈴木正幸理事、眞山滋志理事、出来成人工学部教授、薄井洋基工学部長が出席した。
今回の事態を受け、大前教授は書面で「後で検証する事もありえると考えていました。出願取り下げについては大学の決定ですので甘んじて受けたいという気持ちに変わりありません」とコメント。薄井学部長は「(今回の件は)問題であり、遺憾に思う」と述べるにとどまった。
大学は事態の経緯を、あらためて学生に公表する方針。「工学部に痛手があった。学部としての信頼を回復したい」と今後の意向を説明した。
大前教授が現在も授業を担当しているかについて、薄井工学部長は会見で「わからない」と回答している。(記者=森田篤、西麻理子、大野将寛、塚本京平、西田健悟、濱田直毅)
▽これまでの動き
2004年 4月15日 大前教授を含む研究者3人が、自身の研究結果に関する優先権を主張 2005年 3月24日 神戸大が、同教授らの発明に関する特許を出願 11月24日 インターネット上に研究成果を公表 2006年 3月27日 工学部の助教授が学科長に調査申し立て 3月28日 学科長が学部長に報告 学部長が連携創造本部(学内で特許出願業務を担当する部署)に調査依頼 4月21日 連携創造本部から学部長に報告 「特許の実施例に不備があり、特許の不成立が懸念されるため、特許の取り下げが適切である」 4月24日 大学が大前教授の了承を得て特許出願の取り下げを申請 申請が受理される 4月27日 記者会見
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