卒業生がキャンパスに ホームカミングデイ

 第1回神戸大ホームカミングデイが9月30日、開催された。ホームカミングデイとは、卒業生がキャンパスに戻り、同窓生や先輩・後輩と旧交を温めるというもの。今回は「現在の大学を知ってもらう」という目的もあり、卒業生だけでなく、現役学生や教職員、地域住民なども大学に集った。【10月1日 神戸大NEWS NET=UNN】

 記念式典は午前11時から百年記念館六甲ホールで催された。司会はNHKアナウンサーの住田功一さん(1983年・経営学部卒)で、式に集まった卒業生は約260人。マンドリンクラブによる、フィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルを獲得したときの曲で知られる、プッチーニの「トゥーランドット」の演奏により華々しく始まった。
Photo 式の中で野上智行学長は「皆様のお力により現在の神戸大学はできあがった」と述べ、「(神戸大の歴史は)スタートしてまだ100年もない。これからどうなっていくかは我々の手にある」として「神戸大学が地域において、国において、世界においてかえがえのない存在になるよう心がけている」と力強く話した。そして新野幸次郎学友会会長は、卒業生との結びつきの大切さと、卒業生を大学に迎え入れることの重要性を示した。また全学各同窓会会長に感謝状の贈呈も行われた。

 野上学長による講演「神戸大学の現在と未来」では、百年記念館やロゴマークの紹介、神戸大の歴史、学内における国家試験の合格者数やEUインスティチュート関西の紹介なども行われた。またアールレスピラン弦楽四重奏団による学歌演奏も披露され、平成14年に作られた学歌を初めて聞く卒業生も多く、四重奏調にアレンジされた学歌のメロディーに耳を傾けていた。式典の模様は、各学部にライブ中継や録画などで放映された。
Photo 記念式典の後には、LANS BOXでティーパーティーが開かれ、記念式典に集まったほとんどの卒業生が集い、応援団総部による学歌指導も行われ大いに盛り上がっていた。


●参加者のコメント
 西島章次副学長 (国際担当理事)
 「これを機に(学生は)同窓会に入って、愛校心を増やしてほしい」と学生たちに求めた。  
 総合司会を務めたNHKアナウンサーの住田功一さん
 「大阪大も今年から、東京大は今年で5回目のホームカミングデイを開催しており、神戸大は今回が初めて」と述べ、「同窓会は接点。情報をキャッチすることは大切」と同窓会の必要性を示した。また「これだけOBが幅広い(分野に渡る)大学は珍しいので、(就職の際など)先輩を活かしてほしい」と卒業生との結びつきの大切さを強調した。

 マンドリンクラブ指揮者の坂本寛幸さん(工・3年)
 「(ホームカミングデイは)第一回なので気合いを入れて演奏した」と話した。

   野上智行学長
 これからのホームカミングデイについて「できれば1週間ずっと(実施して)、ホームカミングウイークにしたい。OBに授業を受けてもらうなどしたい」「現役の学生が参画してほしい」などと夢を膨らませた。

 ?さまざまなイベントで歓迎

 六甲台前庭では、留学生が民族料理の模擬店などを出し、「いらっしゃいませ」などと卒業生らに日本語で声をかけていた。
 六甲台講堂では、クラシックギタリストの松田晃演さん(1957年・経済学部卒)によるギター演奏が披露され、訪れた卒業生らはギターの美しい音色に聞き入っていた。
 またホームカミングデイに合わせて各学部で、キャンパスツアーや懇親会が開かれた。?

▽工学部 
 工学部では、スカイマークエアラインズ (株) の西久保愼一代表取締役社長(1978年・工学部卒)が「事業のリスク管理について」の講演を行った。

▽文学部
 文学部では、藤田佳代舞踊研究所によるモダンダンスの公演が行われた。藤田佳代さん(1966年・文学部卒)は「まず、自分を信じること(が大切)」と、学生らへメッセージを投げかけた。

▽農学部
 農学部では、学生の活動報告が行われた。千藤貴博さん(農・M1)は「農学部は植物とふれるだけ、というイメージを一新できたら」と、この講演に対する思いを語った。留学生のファン・ハン・チャンさん(農・M1)は「5つの学科がそれぞれ何に力をいれているか発表できたらいい」と話した。

▽国際文化学部
 学部が開設されて10周年を迎えた国際文化学部は、国際文化学部E棟4階大会議室が会場となり、学部長の挨拶や卒業生による講演会が行われた。まだ卒業生も10期生までということもあり集まった顔ぶれも新しく、宗像惠学部長は「同窓会そのものもこれから作っていってほしい」と話した。

▽理学部
 理学部では理学部Z棟2階が会場となり、理学部長挨拶、向井正教授 (地球惑星科学科 / 日本惑星科学会会長)による講演会『冥王星はなぜ惑星ではなくなったのか』、懇談会、そして大学院生による常設展・宣伝ポスター展示も催された。展示を行っていた大学院生は「多くの卒業生の方に見てもらうためにも、わかりやすいものにした」と話していた。またキャンパスツアーも30分毎に3回行われ、参加した人々を理学部A,B,C棟、自然科学1,2,3号館、百年記念館などを案内した。

▽発達科学部
 発達科学部では発達科学部A棟2階大会議室を会場にして、発達科学部長挨拶、紫陽会会長挨拶、講演会「教育学部の50年と発達科学部の13年」が行われた。講演会には他学部に比べて女性も多く参加しており、熱心に耳を傾けていた。また卒業年度別懇談会や懇親会、発達科学部キャンパスツアーも催された。

Photo▽医学部保健学科
 前身である医療技術短期大学部の理学療法学科の創設者で、平成9年まで教壇に立っていた武富由雄さん(神戸大名誉教授・医学部)は「私の教え子が全国に散らばっている」と教え子の活躍に目を細めていた。現在の場所にキャンパスができた当時は、周りに店などがなく学生は昼食などにも困っていたという。
 同学科講師の伊藤浩充さん(1985年・保健学科卒)は第1期生。現在の場所にキャンパスができた当時は、周りに店などがなく学生は昼食などにも困っていたという。

Photo▽医学部医学科
 医学科のキャンパスツアーでは、大学病院内を見学。参加したOBからは最新の医療施設について、熱心な質問が飛んだ。医学部OB(1981年卒)は「僕らのときは6年の夏までクラブをやっていた。今の(医)学生の方が賢い」と褒める一方「医局の権力がなくなってしまって、医者が地方に行かなくなってしまった」と医療現場の実情を嘆いていた。

▽海事科学部
 神戸商船大学OBは「半世紀ぶり。建物が増えてすごく変わってしまった」と変貌振りに驚いたような顔で話していた。
 別の神戸商船大OBは「昔はなにもなかったからここ(グラウンド)から海、いや世界が見えていた。設備だけがよくなって海に対しての心が消えていっている気がする。知識だけじゃなく、海のプロフェッショナルを育てる大学だからシーマンシップも大切にしてほしい。だが、世の中の流れというものがあり、古いものは口出しするつもりはない。学生には新しい海事の歴史を自分の力で刻んでいってほしい」と真剣な面持ちで話していた。
 航海シュミレーションを紹介した深江丸航海士世良亘さんは「これ(ホームカミングディ)はあくまできっかけ。大学はOBの力が必要。このような式がなくてもOBとの交流がある大学になってほしい」とコメントした。


【写真】記念式典の後のティーパーティー(9月30日・LANS BOXで 撮影=上村絵里)
【写真】パネルディスカッションをする三木明徳保健学科長(中央)ら(9月30日・名谷キャンパスで 撮影=大野将寛)
【写真】医療設備の説明を受ける医学部OB(9月30日・神戸大学病院で 撮影=大野将寛)

《訂正》記事本文のコメントで「大阪大は昨年から、東京大は今年で5回目のホームカミングデイを開催しており…」とお伝えしましたが、「大阪大も今年から」の誤りでした。おわびして訂正します。(編集部 2006年10月3日午前0時50分入力)

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