防災意識の向上を 県と共催で学術シンポ  

神戸大と兵庫県の共催で1月19日、学術シンポジウム「防災文化の創世」が神戸市中央区のJICA兵庫で開催された。低下しつつある防災意識の向上をテーマに、講演や討議などが行われた。【1月19日 神戸大NEWS NET=UNN】

 このシンポは阪神・淡路大震災の後、低下しつつある個人や地域での防災意識を再び向上させることを目的としている。防災政策責任者や防災倫理・規範に関する学術研究者が研究発表やパネルディスカッションを繰り広げた。会場には多くの神戸大生も集まり、メモなどを取りながら教授らの発表に真剣に耳を傾けた。
 午前に行われた基調講演で布村明彦さん(国土交通省・近畿地方整備局長)は、「災害対策の基本は自助、共助、公助。(役所が行う)公助だけでなく、(自分自身で行う)自助、(地域単位で行う)共助も大きな減災効果がある。一人ひとりの備えが重要」と述べた。
 午後には防災倫理に関する研究発表(下記)のあと、参加した教授らによるパネルディスカッションも行われ、防災倫理における指針などについて意見が交わされた。
Photo 震災社会学を研究し、今回研究発表を行った文学部の岩崎信彦教授はシンポ後、「いまの学生達はものごとを考えるセンスも関心もあるのに、その考えをお互いに話す場がない。このシンポをきっかけに、未来に向けて何ができるのか少しでも(学生達に)学んでもらえれば」と話した。
 このシンポ開催を進めてきた油井清光(ゆい・きよみつ)教授は「多くの人が集まり、多くの分野の研究から問題が提起され、一定の成果はあった。今回の内容をまとめて授業で学生達に配るなど、もっと多くの学生達にこの問題を知ってもらいたい」と話す。この取り組みは来年以降も続けられる予定。


▽シンポジウム「防災文化の創成」プログラム
○午前の部
開催挨拶・松嶋隆二(神戸大文学部長)
地元歓迎挨拶・東田雅俊(兵庫県防災監)
基調講演・布村明彦(国土交通省・近畿地方整備局長)
 「防災協働社会の実現に向けて」
○午後の部
報告・岩崎信彦(神戸大教授)
   「コミュニティの防災力」
  ・鈴木克徳(国連大学高等研究所 上席研究員)
   「持続可能な開発のための教育における防災教育の位置づけ」
  ・羽地亮(神戸大助教授)
   「防災倫理にもとづく行動規範をどうつくるか」
  ・田中泰雄(神戸大教授)
   「持続可能な都市開発と防災」
パネルディスカッション「災害文化の創成に向けて」
 司会進行・油井清光(神戸大教授)
 パネリスト・松田毅(神戸大教授)
      ・鈴木克徳
      ・朴木佳緒留(神戸大教授)
      ・東田雅俊
とりまとめ・油井清光 

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