夜回りで野宿者訪問 ボランティア講座

神戸大学ボランティア講座の一環で、神戸大生によるボランティア体験実習が行われている。3月10日は神戸YWCA夜回り準備会の協力のもと、野宿者を訪問する夜回りが実施された。【3月11日 神戸大NEWS NET=UNN】

 「野宿したくない人が野宿しなくてすむように野宿せざるをえない人の人権がそこなわれないように」。これは、神戸YWCA夜回り準備会の目的である。夜回り準備会は月2回の夜回りや週1回の病院訪問などを実施し、灘区・東灘区で野宿生活を送っている人たちを訪問している。
 取材当日の3月10日は雨。午後6時のミーティングでは、メンバーが今日の夜回りの打ちあわせを行っていた。先月に発生した野宿者への襲撃事件が話題の中心となった。今回の夜回りでは、襲撃された人の生活場所も訪問することになっていた。神戸大からボランティア講座の一環として参加した渡辺菜美さん(国文・2年)は「(襲撃は)テレビだけの世界だと思っていたが、身近(神戸市)にも存在すると知ってショックだった」と話した。
 巡回する範囲は広い。野宿者が主に生活している場所を数か所回る。今回は4台の車にメンバーがそれぞれ分かれ、夜回りを開始した。藤室玲治さん(大学院総合人間科学研究科・博士課程3年)が「野宿者と信頼関係を気づくことは非常に難しい」と話すとおり、襲撃などもあるからだろうか、初対面の人は警戒される傾向がある。藤室さん自身も何回も訪問し、今の関係を築いたという。夜回りグループは野宿者が生活保護を受けたり定住できるようにいろいろな提案をする。藤室さんいわく、「生存権では『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と定義されているが、実際は権利を保障されていない人もいる。野宿者もそのなかに含まれる」。グループによるコーヒーや風邪薬、毛布の提供は野宿者にはありがたい。最低限度の生活を保証されていない野宿者に、夜回りグループは支援する。
 その後、グループは襲撃された野宿者の生活場所を訪問した。その人は灘区で野宿生活を送っているが、先月投石などの襲撃を受けた。襲撃をしたのは少年の集団ということで、夜回り準備会は書面を作成し、近隣の小中学校に申し入れを行っていた。訪問すると、先週3月3日にも再び襲撃を受けたという。  「野宿者にも人権は当然ある。いろんな人に現状を知ってもらいたい」。夜回り終了後、藤室さんは話した。「野宿者が襲撃を受けたりするとショック」と、夜回りをしている中での悲しさを挙げた。
 「まだ自分は『問題を知る』レベル。考えて、何かしようという段階ではないが、参加して現状が知れたことは良かった」と渡辺さん。「みんなに広めて欲しい」という藤室さんの思いは、ボランティア講座を通して伝わったようだ。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る